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<公共図書館>(前編)閉館…時代に合った役割は?

2022年4月4日 10時39分 (4月12日 13時20分更新)
 昨年九月、愛知県常滑市で市立図書館の本館(当時)が老朽化で閉館しました。日本図書館協会(東京)によると、全国に約三千三百館ある公共図書館のうち、中央館の閉館は財政破綻した北海道夕張市に次ぎ二例目。各地で図書館の予算や人員は減少傾向です。図書館は市民の知る権利に応える「知のとりで」。時代に合ったあり方を考えます。(白井春菜)

ボランティア㊨による絵本の読み聞かせを聴く親子=名古屋市名東図書館で


名古屋は再編を計画


 三月の平日、名古屋市名東区の名東図書館で開かれた乳幼児向けおはなし会。ボランティアの女性が絵本を読み、紙芝居を演じた。長女(2つ)と参加した主婦神崎真奈美さん(33)は「ここではいろいろな本に出合える。ボランティアの人に、子の年齢に合ったお薦め絵本についても聞ける」。
 同市は二十一館ある市立図書館の再編を計画している。蔵書百三十万冊の中央館は、郷土資料の収集や調査研究の要に。市内を五ブロックに分け、それぞれに専門資料を含む蔵書十五万冊のアクティブライブラリーを一館設ける。他の図書館は、貸し出しやおはなし会などの基礎的なサービスを提供するコミュニティライブラリー(蔵書五万~七万冊)か、駅周辺や区役所内など利便性の高い場所で貸し出し・返却中心のスマートライブラリー(SL、同一万~四万冊)になる。
 市の二〇一八年度市民アンケートでは、月に一回以上図書館を利用した人の割合は二割程度。少子高齢化で図書費、司書数が減る中で効率よくサービスを提供し、建設費や維持費を抑える狙いもある。
 建物が老朽化した名東図書館の計画は移転しSL化。同館で読み聞かせをする「名東図書館ボランティアの会」の松岡良子代表は「生活圏に図書館があり、司書が選んだ良書を自由に手に取れることが子どもの心の成長には欠かせない。住民が集う場としての機能も重要」と異を唱える。

常滑は財源難が壁


 財源確保はどこでも大きな「壁」だ。常滑市は、市立図書館本館の閉館後、蔵書の一部を公民館の図書室と市庁舎内に新設した「こども図書室」に移した。十~十五年以内の再建を目指すが、財政面でめどがたっていない。図書館本館と市庁舎、文化会館などを複合施設として新築する計画もあったが、文化会館の規模縮小に市民から反対の声が上がり、断念している。

生涯学習の場として


 国内外の図書館の事例を研究する「未来の図書館研究所」(東京)の永田治樹所長は「社会における図書館の機能をきちんと位置付けないと、財源削減の動きは進む」とみる。デジタル化が進む今、働く人々の知識や技術を更新する生涯学習の場としての機能を重視し、「図書館でもっと簡単にデジタル機器が使えれば、図書にも情報にも触れられる場所になる」と助言する。

 図書館の自由に関する宣言 日本図書館協会が定める図書館運営のガイドライン。戦時下、図書館が思想統制の一端を担った反省から、1954年の全国図書館大会で採択された。「すべての国民は、いつでもその必要とする資料を入手し利用する権利を有する。この権利を社会的に保障することは、すなわち知る自由を保障することである。図書館は、まさにこのことに責任を負う機関である」とうたう。


 

知る自由を保障 誰でも利用無料


 なぜ、誰でも無料で利用できるのか。自治体などが設置する公共図書館について、1950年に定めた図書館法は17条で「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と規定した。明治時代につくられたそれまでの図書館令は図書閲覧料の徴収を認めていた。
 図書館の全国組織、日本図書館協会が定める「図書館の自由に関する宣言」では、知る自由を保障するため、すべての図書館資料は原則として国民が自由に使えるよう提供されるべきだと明文化している。
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「公共図書館宣言」は「公共図書館は、その利用者があらゆる種類の知識と情報をたやすく入手できるようにする、地域の情報センターである」と位置づけ、一部サービスが有料の国もある実情を踏まえて、利用は原則無料とした。

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