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県知事選2017

政策論争に発展せず 知事選総括

 現職川勝平太さん(68)が新人溝口紀子さん(45)を退け三選を果たした静岡県知事選。「川勝さん出馬」「自民の候補擁立断念」「選挙戦」の三つの局面に焦点を当て、戦いを振り返る。

■出馬の決断

 川勝さんはぎりぎりまで迷っていた。昨年末の定例会見で「優れた人が知事をやるというなら応援する」と発言。政治資金パーティーを開いても、ある財界関係者に「私が出ない場合、お金はどうすれば良いか」と聞き、当初は不出馬の臆測すら出ていた。

 悩む最中の二月、県議会最大会派の自民改革会議が二期八年を低評価した。五点満点で二・二点。幹部は「不合格」と表現した。

 川勝さんはこの「二・二点」を許さなかった。出馬への態度表明を問われるたび「自民が候補を出さなければ態度を明言できない。あれだけ批判しておいて、自民は候補を出さないのか」と繰り返した。

 四月、当時の自民党県連会長の塩谷立衆院議員が「独自候補の擁立にこだわらない」と発言。川勝さんはそれを自民の敗北宣言と受け止め、「ならば私が」と出馬を表明した。

 川勝さんが出馬の悩みを明かしていた財界関係者は言う。「二・二点が変わり目だった。それで火がついたんだ」

■難航の末断念

 「節目節目で判断を間違えた」。五月上旬、自民党県連が独自候補の擁立断念を発表した会見で、幹事長だった宮沢正美県議は唇をかんだ。

 候補の人選を阻んでいたのは他でもない川勝さんだった。県連は昨年の早い時期から地元出身の官僚ら複数人に打診していたが、断られ続けた。ある自民県議は「川勝さんが前回獲得した百八万票が効いている。負け戦になると思ってしまう」と漏らした。

 さらに民進党の細野豪志衆院議員=静岡5区=と渡辺周衆院議員=同6区=への相乗り構想の頓挫が致命傷となった。二人に出馬の意思があるとの情報が入り画策したものの、川勝さんが出馬の意向を示したことで二人は出馬を否定。ある自民党県連幹部は「描いた絵が変わってしまった」と嘆いた。

 慌てて役員数人で宮沢県議を擁立する方針を固めたが、役員会で「塩谷会長が責任を取るべきだ」などと反対が相次ぎ失敗。ついに候補擁立の幕を引いた。その後、県連は自主投票の方針を示したが、一部支部が溝口さんを推薦。最後まで足並みはそろわなかった。

■不安的中

 告示の八日、「県政刷新」を掲げて臨んだ溝口さんの第一声。演説時間の八割が現職批判を占め、具体的な政策を打ち出せずにいた。支援した自民市議でさえ「出馬表明から時間が無く、政治家として県政課題を勉強する時間が足りなかった」と打ち明ける。

 批判は市長とのあつれきが取り沙汰されていた静岡市で鋭さを増した。「対話がない。強い者が弱い者をいじめている」と声高に叫んだ。当選後の川勝さんから「政策論争できず、川勝を嫌いにする論争を繰り広げられた」との恨み節が出るほどだった。

 川勝さん自身も静岡市での支持率の低下は肌で感じていた。四年前は拍手喝采だった市街地での演説に、三十人しか集まらないときもあった。一緒に回った民進党系の県議は「市内で予定した演説が全て終わった後、知事自らもう一度回りたいと申し出たこともあった」と明かす。

 不安は的中し、静岡市での得票は溝口さんを下回った。川勝さんが「これからは私からけんかを売るとか、批判することはない」と反省する結果となった。

(知事選取材班)

 

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