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県護国神社に 慰霊の桜奉納

奉納された越前焼の「さくら陶板」。右は陶芸家の桝田屋さん、左は宮川宮司=14日、福井市の県護国神社で

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桝田屋さん 完全な形に 越前焼陶芸家 

靖国150年事業の陶板

 慰霊の「さくら陶板」を完全な形に−。靖国神社(東京都)百五十年記念事業で制作・奉納された桜の花びらをモチーフにした越前焼の陶板一枚(一弁)が、同神社から福井市大宮二の県護国神社に寄贈された。「桜の花は五弁そろってこそ」と、陶板を制作した越前焼陶芸家の桝田屋光生さん(69)=越前市曽原町=が新たに五枚セットで焼き十四日、県護国神社で奉納奉告祭が営まれた。 (中田誠司)

 靖国神社のさくら陶板は、有田焼(佐賀県)の人間国宝・井上萬二氏や美濃焼(岐阜県)の加藤幸兵衛氏ら全国四十七都道府県の産地を代表する作家らが、地元の土を使って地元の窯で制作。作品は昨年六月、一つ一つが参拝者の道しるべのモニュメントとして靖国神社の「慰霊の庭」に設置され、一枚は各護国神社に贈られた。県内からは桝田屋さんが制作者に選ばれ、作品を奉納した。

 陶板は五弁の桜がモチーフで、花びらは一枚が縦二十五センチ、幅十九センチ、厚さ一センチ、重さは約一キロ。花びらの形や枚数は全作品共通だが、色彩や風合いで全国各地の窯の特徴を表現している。桝田屋さんが制作した越前焼の陶板は土の色を生かした重厚な黒色で、五枚を花の形に並べるとうっすらと灰釉(はいゆう)のかかった部分が円を描き、角度によって金色に輝いて見える。

 桝田屋さんが記念事業のため陶板制作を始めたのは四年前。陶板はひずみやひび割れが出やすく、色や形がそろった作品を焼き上げるまで何度も作り直すなど苦労したという。

 父親が衛生兵として従軍したという桝田屋さん。父親が異国で戦死する恐れもあったと考えると、陶芸家として戦没者を慰霊するこの事業に参加できてよかったと話す。「参加した陶芸家には特攻隊の生き残りもいて、散華していった仲間への思いも聞いた。県護国神社にも二度と散らない桜を完全な花の形で奉納できて、陶芸家として肩の荷が下りた感じ」と喜ぶ。宮川貴文宮司(48)は「桜に込められた思いを後世に伝え、そのシンボルとしてみていただけたら」と感謝した。

 作品は近く、県護国神社の拝殿に飾られる。

 

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