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豚コレラ対策手詰まり 衛生管理 高水準でも防げず

豚コレラ感染が確認された養豚場に入る作業員ら=13日午前6時8分、越前市内で

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県内2例目

 県内で二例目となる飼育豚の豚コレラ感染が十二日に判明した越前市の養豚場は、出入りする車両を消毒するなど、国が定める飼養衛生管理基準に関して不備はなかったとみられるが、それでも感染を防げなかった。現行の対策に手詰まり感が増している。(今井智文)

 「危機意識が高く、飼養衛生管理基準を高い水準でクリアしていた養豚場で発生したのはショックが大きい」。十二日の対策本部会議後に報道陣の取材に応じた杉本達治知事は、養豚場で二例目の豚コレラ発生に落胆を隠せなかった。

 県中山間地農業・畜産課によると、現場の養豚場にはたびたび管理状況の確認などに入っており、衛生管理基準で定める三十五項目を満たしていたという。担当者は「追加の対策も消毒回数を増やしてもらったことぐらいだ」と説明する。

 県外でも、厳格な防疫体制をとっていたはずの愛知県農業総合試験場(同県長久手市)で九日に豚コレラが発生した。杉本知事は「最先端の農場で基準を守っていても発生しているのは、いかに防ぐのが難しいかという証拠だ」と指摘。福井など各県が農林水産省に飼育豚へのワクチン接種を求めているが、同省が輸出などへの悪影響から認めていないことについて「接種は必要だ。国の主導で進める時期に来ている」と述べ、国への働き掛けを強める考えを示した。

 県はウイルスを運んでいるとみられる野生イノシシの対策も引き続き進める。これまでに大野市と越前市で経口ワクチン二千個を散布しており、月内には南越前町で二千個をまく。月末には追加分の一万二千個の散布に着手する。

業者「どうすればよかったか」

ワクチン接種認めない国に不満

 越前市内の養豚場で新たに確認された豚コレラ感染。県内の養豚業者にとっては死活問題で、ワクチン接種に踏み切らない国の対応に不満をあらわにする。周辺住民からは業者を思いやる声も聞かれた。

 今回の発生養豚場から三キロ圏内にあり、先月下旬に県内で初めて豚コレラ感染が確認された同市内の養豚場では全頭が殺処分された。しかし感染拡大は防げず、女性従業員は「本当に残念でならない。国がワクチン接種を進めていれば、こんなことにはならなかった。(豚が)かわいそうで…」と言葉を詰まらせた。

 岐阜県や愛知県での発生時から、ワクチン接種許可を願ってきたという。「国はなぜやってほしいことをしてくれないのか。私たちはどうすればよかったのか。本当に許せない」と声を震わせた。

 県内の別の業者も「生きている健康な豚をどう守るのかを考えてほしい」と訴える。行政や関係者との間では、感染していないのに殺処分後の補償内容などが話題に上がるという。イノシシにはワクチンを散布しても豚の接種には踏み切らず、一頭でも感染が確認されれば全頭処分されることに、理不尽さを感じている。「守るものが違う」と行政の後手の対応に怒りを表す。

 手塩にかけた豚が感染しないか不安な毎日。ウイルスを持ち込まないようにと、人が集まる場所へ出掛けるのを控えるなど気を使い続ける。感染防止に向けて豚舎の改修を進めているが、数千万円もの費用が必要だ。「改修に行政の補助があれば」と支援も求める。

 今回発生した養豚場の周辺に住む会社員男性(64)は「もう防げないのでは。手の打ちようがない」と諦め気味。「一生懸命管理していたのにかわいそう」と業者を思いやった。 (藤共生、山内道朗、中場賢一)

 

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