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中日文化賞

元名古屋ボストン美術館館長 馬場駿吉氏

2019年5月3日 朝刊から


長年の芸術評論活動 作品は「身体性」意識

元名古屋ボストン美術館館長 馬場駿吉氏

元名古屋ボストン美術館館長 馬場駿吉氏

 中部の現代美術に文芸、演劇と、幅広い分野に通じ、批評活動などを展開してきた。耳鼻科の医師でもある。「医学も芸術も、人間の生命や身体に向き合う。生命の根源にあるものに少しでも触れるような評をしたいと思っています」

 研修医時代、ふらりとのぞいた名古屋市内のギャラリーで、宇宙のようなモチーフを描いた駒井哲郎の版画に魅了された。「限られた画面に広い世界が詰まっている」。中学から続ける俳句に似た魅力を感じ、美術が身近になった。東京の画廊にも足を運ぶようになり、駒井をはじめとした美術家、さらに仏文学者の渋沢龍彦、舞踊家の土方(ひじかた)巽らと交流が広がった。

 32歳で新聞に寄稿した現代美術展の解説が、評論家としての第一歩。国際的に活躍する美術家の作品を的確に評し、活動の場を広げた。荒川修作ら、さまざまな作り手が、その評に厚い信頼を寄せた。

 難解な作品も多い現代美術や演劇と向き合う時、意識するのは「身体性」。体が芸術から受ける刺激や関係性に目を向ける。「感覚器官は耳鼻科の分野。芸術を専門で学んだ評論家にはない見方かもしれない」

 2006年に、名古屋ボストン美術館の館長に就任。館長室を廃し、昨年の閉館まで学芸員と机を並べた。「互いの考えを分かり合え、一体感が生まれたと思います」。米国の本館で門外不出といわれていた大作を初めて日本で公開した09年のゴーギャン展など、成果につながった。

 今も執筆や講演に多忙な日々。「多様なものを吸収し、それを自分の中でいかにつなぎ合わせるか。これからも、興味をたやさずにいたい」。名古屋市千種区在住。86歳。 (文化部・川原田喜子)

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