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静岡ニュース

記者が見た衆院選(上) 

自民が圧勝し、民主が大敗した衆院選の開票作業=浜松市浜北区の浜北体育館で

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 十六日投開票の衆院選は、県内でも、自民の小選挙区候補者が比例復活を含めて全員当選する圧勝に終わった。取材に走り回った担当記者が選挙戦を振り返った。

 −早くから優位とみられていた自民の戦いぶりは。

 記者A 県西部の自民陣営幹部は選挙戦中盤でも「雲をつかむような感じ。優勢という感触がない」と話していた。集会を開こうとしても、寒いからと断られて、人が集まらず開けないことがあると。「自民を選んでいるのではなく、民主が駄目だからという選択でしかない」と警戒していた。

 記者B 比較的競っていた選挙区では、かなり緊張感があった。投票日数日前、新人事務所に「浮かれるな 死にものぐるいで全身全霊で」と選対幹部が朱色で墨書きした紙が張られた。スタッフは「早く当確を出してほしい。緊張で吐きそう」とこぼしたほどだ。

 記者C ある新人は政策論争にこだわりを持っていたが、公示後はほとんど触れなくなった。党幹部からの「お願い」選挙への切り替え指示があったようだ。「みなさまの大きな力を」などと絶叫での連呼が目立つように。「政策ではなく、私という人間を見ていただきたい」との発言まであった。さすがに有権者とのズレを感じたが…。

 記者D 選挙違反すれすれと疑うような行動も。ある候補は夜遅くに駅前でたすき姿で選挙ビラを配っていた。配布枚数など実態は分からないが、本来はまずいのでは…。

 A 多党乱立が結果的に楽な展開となったが、自民組織の必死さや候補者の執念は再認識した。

 −民主の惨敗をどうみるか。

 C 党幹部や有権者の評価が高く、個人的にも好印象を持っていた民主前職が、比例復活もならず落選し驚いた。第三極候補に予想以上に流れたようだ。

 A 票分散は分かる。ただ民主と自民で候補者の意識の差を感じた。解散前、民主前職に十二月選挙をにらんでアンケートを依頼したところ「あるわけないじゃん」と笑い飛ばされた。素早く反応した自民前職と大違い。突然の解散といわれるが、日ごろの構えが結果にも影響した、と言えるのでは。

 B 別の前職も最後まで態勢が整わなかった。秘書は、ハローワークの求人に応募した経験ゼロの人。党候補として戦う以上、もう少し党のフォローがあってもいいと思ったが…。

 D 県中部の落選した前職は細野豪志さんの人気に完全にすがっていた。決起集会でも細野さんの応援ビデオを用いたり、演説では細野さんの名前を連呼したりの状態だった。

 A マスコミが政権交代の成果を伝えない、と八つ当たりもあった。ただ逆風でも個々の候補の足腰が強ければ、もう少し踏みとどまる余地はあった気がする。