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静岡ニュース

「米防衛に参戦」多数

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 米国など同盟国が攻撃を受けたら、日本防衛以外の作戦に日本も参加する集団的自衛権。政府は国際法上の権利はあるとしながらも、憲法解釈上、行使は認められないとする。行使を認めるべきか否か。衆院選の県内小選挙区候補者三十五人に本紙が行ったアンケートでは、改憲を伴うかどうかの差はあっても「認める」が十九人と、「認めず」の十三人を上回る。

 静岡市葵区の人材派遣会社社長、岩崎裕之さん(24)は「尖閣諸島で対立した時に中国が自重したのは、日本の背後に控えている米国の存在が大きかったと思う。米国頼りの部分が大きいから」と改憲もやむなしと考える。だが実際、米国のために集団的自衛権を行使することがあれば「アジアで評判を落としかねない」とジレンマに悩む。

 湖西市の会社員真瀬悠里さん(21)は、米国の庇護(ひご)を受ける日本の立場について「確かに、お世話になっているとは思う」と話す。

 ただ集団的自衛権の行使につながる改憲には反対だ。「戦争に巻き込まれる危険が増えるかもしれない。恋人や兄弟が、兵にとられて、命を失うようなことになる可能性もある」と思いを巡らす。

 御殿場市の元会社員堀内哲雄さん(72)は「米軍の戦争に参加する条件になる。(集団的自衛権の行使は)認めない」と護憲の立場。自衛官が多数暮らす駐屯地の町。「身近な自衛官を戦場に行かせたくない」からだ。

 キャンプ富士(同市)で訓練が計画される米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイにも「集団的自衛権を見越した配備だ」と危機感を抱く。

◆9条じわじわ崩される

静岡文化芸大 藤田憲一教授

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 集団的自衛権の行使は憲法解釈上もあり得ないというのが通説。憲法九条がじわじわ崩される現状を懸念する。尖閣諸島など領土をめぐる諸外国とのあつれきが候補者の考えに影響しているのか。民主、自民問わず「認める」候補が多いことに驚く。

 自民や維新は行使を認める方向。民主はマニフェストで触れていない。かつて護憲の受け皿は旧社会党だったが、この論点での対抗勢力は共産党ぐらい。受け皿が少ない。選ぶのが難しいが、他の争点での回答も見渡して一番考えが近い候補に投ずるベターな選択をすべきだ。

(情報法学)

◆冷静さと譲歩は異なる

東海大海洋学部 山田吉彦教授

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 集団的自衛権は、すでに動きだしている。尖閣諸島の問題も米国の抑止力がなかったら中国はもっと攻撃的だっただろう。タカ派と思われがちだが、私は戦争は嫌い。ユーゴスラビア内戦で、わが子ぐらいの年の子が撃たれて運び込まれてくるのを見ていたから。

 尖閣問題の時、威厳をもって対峙(たいじ)することが重要だとテレビで言ったら「戦争に導く」とネットで非難された。海上保安庁が対峙する姿勢を見せたから中国の自重を引き出せた。冷静さとは何だろうと思う。何もしないことか、譲歩することのようになっている。

(海洋安全保障)