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静岡ニュース

消費増税 賛否は二分

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 消費税を二〇一四年に8%、一五年に10%に引き上げることを決めた消費税増税法案。増え続ける社会保障費に充てられるが、景気をさらに冷え込ませるとの懸念も強い。本紙が衆院選の県内小選挙区の候補者三十五人に行ったアンケートでは、十五人が「法に沿って実施」、十六人が「法を見直す」と回答はほぼ二分された。

 静岡市駿河区の私立幼稚園職員の加藤よしえさん(64)は「景気が良くない現状で増税すると、さらに低迷してしまうのでは」とデフレ状況下での増税には反対する。ただ、増税自体の必要性は感じている。「いずれ増税しなければならないなら、若い人たちの雇用状況が安定したときに」と景気が上向けば増税やむなしとの考えだ。

 「消費税アップによる値上げでも、小売業は値上げしたこと自体でイメージが悪くなる」。湖西市のガス・日用品販売業、石田裕朗さん(37)は商売への影響が心配だ。

 地元青年会議所が主催した公開討論会で各候補の主張に耳を傾けた。「自民の候補が言うように、景気が回復していない段階で増税してもプラスはないと思う。みんなの党の候補が、議員が身を削るのが先だというのも分かる」と反対意見に共感した。「そもそも高齢化は以前から分かっていたこと。今になって社会保障のためにというのは納得いかない」と国民不在の増税論議に不満が残る。

 一方、若い世代には負担を先送りすることへの不安が強い。浜松大三年の片岡裕樹さん(22)は「国の借金は国民全員で割ると、赤ちゃんまで含めて一人数百万円分ある事態は異常だ」と日本の厳しい財政状況が気がかりだ。「国民全体で負担を分かち合うには消費増税もやむをえない」と容認の立場を取る。

◆先に雇用の安定化を

 県立大短期大学部 中沢秀一講師

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 国の意識調査などを見ても、社会保障充実のためなら増税はやむを得ないという大方の合意はある。ただ景気が悪く、雇用が不安定な現状では、負担増に耐えられない人が増えている。

 非正規雇用の場合、月一万五千円の国民年金や年収の一割強を占める国民健康保険(国保)の保険料は全て自己負担になる。病気などで休業しても賃金の補償はない。保険料を支払えず、国保を使えなくなっている人もいる。

 雇用のセーフティーネットがない現状で、年収二百万円以下のワーキングプアが果たして増税に耐えられるのか。雇用の安定化を図ることが先ではないか。

 また、財源は消費税以外の選択肢もある。社会保障がそもそも所得の再分配機能を持っていることを考えると、下がり続けている所得税の最高税率や相続税、法人税の見直しを先に検討すべきではないか。生活保護の不正受給といった無駄遣いを減らす必要もある。

 各党が描く雇用や年金の将来ビジョンと併せて判断することが大切だ。(社会保障)