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静岡ニュース

脱原発依存 似て非なり

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 中部電力浜岡原発が立地する静岡県。脱原発について衆院選の県内八小選挙区の三十五候補に聞いた本紙のアンケートでは、三十人がいずれかの段階で原発をゼロにすると回答した。「原発を減らしても残す」「現状維持」としたのは二人にとどまった。

 浜松市南区の会社員伊藤陽介さん(30)は「原発がない社会が良いのは分かりきっている。自然エネルギーへ転換する道筋をはっきり示してほしい」と候補者に望む。「夏場や冬場の電力は足りているというが、日本に自前の資源が無いから原発政策を進めたはず」とエネルギー不足を懸念し「将来性ある現実的な政策をしっかり考えるべきだ」と語った。

 静岡市葵区の主婦酒井美奈子さん(65)は「七日にも東北で大きな地震があり、やはり原発は心配だ。すぐに全廃してほしい」と訴える。

 アンケートでは、原発ゼロを達成する時期として、「即時」や「できるだけ早く」が二十人、「二〇三〇年代より早く」が四人、二〇三〇年代が六人などに分かれた。自民と民主は同じ党の候補者間で期限がばらつき、目標をどこに置くのか一致していない。

 「浜岡原発は、菅直人前首相が止める決断をしてくれて本当によかった」と酒井さん。「衆院選ではすぐに決断してくれる候補者を選びたい」と話した。

 浜岡原発がある御前崎市内。子育て中の三十代主婦は「福島の事故で現実を思い知らされた。当然なくすべきだ」と切実。「まず立地条件などで危険な原発を、段階的になくしていくのが現実的だと思う」と確実に脱原発が進むよう願っている。

◆訴えの矛盾 見極めを

 静大人文社会科学部 平岡義和教授

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 日本は原発について、遠い未来のことまで考え選択することを迫られている。原発を続けるか、少しずつ減らすか、脱原発するか。それはどれが正しいというものでもなく、有権者が望む道を選ぶしかない。

 静岡大と中日新聞の共同県民世論調査では、脱原発を国民投票で決めたいとの回答が65%にのぼり、自分たちで決断しようという意識がある。この衆院選も有権者の意思を表明する機会だ。

 脱原発に進むドイツは、原発廃止という目標をまず定めた後、自然エネルギーを普及させるための方法や制度を試行錯誤し進めている。日本でも、選挙で方向性を示した上で、議員が具体策を作っていくことになるだろう。

 そのためには候補者の見識が大切だが、原子力について知識不足の候補者もみられる。例えば原発廃止に賛成しながら、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す核燃料サイクルには賛成する候補者がいたりする。

 党の公約と候補者の考えが矛盾し、当選後にどう整合性をつけるのか分からない例も。有権者が、信頼できる候補者をしっかり見極める必要がある。(環境社会学)