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静岡ニュース

広がる格差の原因は 社会に問題、個人も

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 非正規雇用や生活保護の受給者が増え、豊かなはずの日本で貧困の拡大が問題になっている。広がる格差の原因はどこにあるのか。衆院選の静岡県内八小選挙区の候補者三十五人に本紙が実施したアンケートでは、十一人が「社会の責任」と回答。「どちらかといえば社会」と合わせると二十二人で、「どちらかといえば個人」の六人を大きく上回った。

 自宅を開放しボランティアで高校生に英語を教えている主婦の崎たえ子さん(66)=浜松市西区=は「貧しい人がはい上がれる社会がほしい」と求める。「教室の生徒も、大学の学費が高くて、やりたいことがあっても思い通りに進めない。夢を描けない子が多い」という。「昔は何をするにもお金は今ほどかからなくて道はいっぱいあった。希望が持てる社会をつくって」

 求職中の女性(56)=西区=は「ここ数年で、金持ちと貧しい人の格差は固定されてきている。一度失敗すると抜け出せないシステムになっているのは問題だ」と怒る。

 一方で「行動もせずに、一概に社会のせいにするのはいかがなものか」と疑問を投げ掛けるのは、劇団を主宰する演出家の松尾交子(ともこ)さん(41)=東区。

 「社会は個人の集まり。企業や国に依存しないで、個人ができることを考えて」と訴える。就職や起業の制度は十分あり「失業しても仕事の経験は生かせるし、本で知識をつけてもいい。本当に何とかしようと思えばNPOや企業を立ち上げるのも難しくない」と話す。学生の意識の低さも気になる。

 ただ自主性のない学生や労働者を生んだ背景には社会の責任があると思う。「便利になり過ぎて考えなくなった」と指摘し「学校ではもっと経済のシステムを教えるべきだ」と改善を求めた。

◆制度のひずみ修正を

 浜松学院大 津村公博教授

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 アンケート結果は社会格差に構造的な問題があり、変えなくてはいけないという意識が候補者側に根付いていることを示すもので、少しほっとさせられる。

 親の出稼ぎで浜松に住むブラジル人の若者を支援しているが、彼らの多くが小中学校でつまずく。

 言語や文化的な差異に配慮された教育環境はない。そもそも彼らは義務教育の対象外でお客さま扱い。中学の退学が認められてしまう。就職でも国籍で門前払いを受ける。派遣型労働で景気の調整弁として利用され、最下層に固定されている彼らの存在は格差の問題を具現化している。日本人でも事情は同じで高校や大学の新卒採用で就職の機会を逃すと再チャレンジの機会はなかなか得られない。

 企業は非正規雇用を活用して収益を膨らませ、政治は規制緩和でこれに加担した。こうした構造的な問題にどう介入して、変えていくのか。制度のひずみを修正する政党や候補かどうか見極めてほしい。(多文化教育)