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静岡ニュース

浜岡城下複雑 静岡3区の各候補、原発訴え慎重

◆市民団体「方向性示して」

 国策を受け入れた地域で、国策の是非が問われている。中部電力浜岡原発(御前崎市)がある静岡3区。民主、自民、共産の既成三政党に加え、日本維新の会の四候補が選挙戦で原発を語る。何らかの形で浜岡原発と関係がある有権者も多く、論戦を見る目は複雑だ。候補らの訴えにも、立地地域に配慮して慎重な言い回しも見られる。

 「今回の争点は浜岡原発をどうするかだ。浜岡の直下は東海地震の震源域で、たとえ原発事故のリスクが小さくても、事故が起きたらどうなるのか。福島の事故がそれを如実に表している」

 夜のJR磐田駅前に、浜岡原発の廃炉を公約に掲げる維新新人の鈴木望さんの声が響いた。傍らには、先の湖西市長選で脱原発を訴え、三選した三上元さん(67)の姿もあった。

 浜岡再稼働の是非を問う住民投票条例制定を県に求めた市民団体の先頭に立った鈴木さん。条例制定は県議会で否決され「民意が宙に浮いている。原発立地選挙区の民意を問うてみたい」。不完全燃焼に終わった先の取り組みを胸に、意気込みを訴える。

 浜岡原発のあり方をめぐっては各候補者に微妙な温度差がある。

 再選を目指す民主前職の小山展弘さんは「現時点では再稼働できない。廃炉についてはイエスかノーかでなく、議論を深めなくては」と慎重だ。

 自民新人の宮沢博行さんは、国内の原発を即ゼロにするのは非現実的としながらも、浜岡原発に対しては「再稼働へのハードルはかなり高い」と主張する。

 共産新人の岡村哲志さんは、鈴木さんとほぼ同じ立場だ。党県委員会で長く原発問題対策を担当し「絶対に再稼働させてはならない。原発は即時ゼロに」と一貫している。

 今年四月の御前崎市長選挙でも、浜岡原発が争点となった。再稼働に慎重な立場の現職、反対の新人と共産の三人が立候補したが、大差で現職が三選を果たした。

 御前崎市民の民意は原発の現状維持を選択した形だが、同市の「浜岡原発を考える会」の伊藤実代表(71)は「市長選は地縁血縁、仕事などがからむ地方特有の選挙。必ずしも結果が民意とはいえない」と分析する。今回の衆院選に「国の行方を左右する重要な選挙。しがらみも少なく、有権者の本音が出やすくなるのでは」と注目する。

 3区内では、浜岡原発の廃炉を求める市民団体の動きが活発になっている。袋井市の「浜岡原発を考える袋井の会」の竹野昇事務局長(65)は「原発問題は、各地で反対の声を上げないと前に進まない。候補者は原発問題の考えを具体的に示し、地元の声を受け入れてほしい」と注文を付ける。

 住民投票条例制定を求めた署名集めに協力した菊川市の六十代女性は「市民が進んで署名に協力してくれ、関心の高さを肌で感じた」と、脱原発への手応えを振り返る。

 一方、原発だけを争点にすることを心配する声もある。御前崎市のベテラン市議は「中電も真剣に津波対策を進めている。電力不足も不安で、国策として進めてきた原発を簡単に廃炉にすることはできない」と強調。「現状は、原発問題が先に進まないことも確か。責任ある方向性を示してくれる国政に期待したい」と付け加えた。