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静岡ニュース

9条改憲論に危機感 「公約」相次ぎ 改憲論議活発

◆市民団体「注目されず問題」

ぬまづ憲法9条の会の年次総会。改憲の動きを警戒する声が相次いだ=沼津市の沼津労政会館で

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 衆院選で憲法改正を公約にする政党が相次ぎ、改憲論議が活発になっている。自民党は憲法改正草案を取りまとめ、安倍晋三総裁は「自衛隊を国防軍と位置付ける」と宣言。日本維新の会は自主憲法制定を公約に盛り込んだ。憲法九条(平和主義の規定)を中心に護憲活動に取り組んでいる市民団体は、これまで距離を置いてきた選挙戦で「護憲の声を上げなくては」と危機感を募らせている。

 衆院解散後の十一月下旬、沼津市内で開かれた「ぬまづ憲法九条の会」の年次総会。勢いを増す改憲論について、会員十七人が対応を話し合った。

 「九条は命を守る基本。原発やオスプレイ、社会保障などの問題にもつながっている。改憲は絶対許さないという姿勢で選挙に臨みたい」と女性会員。だが、会として政治的な行動を打ち出すことに、消極的な声も根強い。「多くの人との対話と学びを大切にしよう」との結論で散会した。

 会事務局次長の元公務員鈴木裕司さん(68)は「今回の総選挙で改憲派が大多数を占めるのは間違いない情勢。改憲大連合ができれば憲法は風前の灯(ともしび)だ」と無力感をにじませる。「橋下徹さんの存在が大きい。若者に改憲派が増えている」と分析した。

 県内の地区や職場でつくる「九条の会」は約百五十団体。これまでは講演会や勉強会が活動の中心だった。改憲の可能性が高まる中、デモ行進で護憲を訴えるなど、連携を目指す動きも出てきている。

 毎月九日に静岡市葵区で街頭活動をしている「静岡YWCA九条の会」などは、投開票の一週間前になる九日に、プラカードを掲げてPR活動をする。「今回の衆院選が憲法の行方を決める選挙になる」と訴えるのが狙いだ。

 本紙が四、五日に実施した電話世論調査で(1)脱原発(2)消費増税(3)環太平洋連携協定(TPP)(4)憲法に関連して集団的自衛権−の主要政治課題四項目を挙げ「重視するのはどれですか」と聞いたところ、県内有権者の選択で集団的自衛権は最下位の8・8%だった。

 「これだけ改憲論が増えているのに、あまり争点として注目されていないのが問題だ」と話すのはYWCAの会副会長の藤原玲子さん(54)。「選挙後、一気に改憲に走らないか気を付けないといけない。党や候補者を見極めて投票しようと市民に呼び掛けたい」と語る。

(谷岡聖史、今井智文)