文字サイズ

長野ニュース

自治体職員が政治状況の本音語る 覆面座談会

 「地方の声をもっと聞いて」「政党間での責任のなすり付け合いなんて見苦しい」−。経済情勢が好転しない中、多くの地方自治体が自主財源だけでは予算を賄いきれず、国からの補助金や交付金に頼っている。政権が代わる度に振り回されてきた南信地域の自治体の職員らは、今の政治状況をどのようにとらえているのか。四十代から五十代のベテラン三人に、本音を語ってもらった。

 −民主党政権三年間を振り返ると。

 Aさん 初めから期待していなかった。いまでも「やっぱりな」という気持ちだ。

 Bさん 事業仕分けが悪かったね。商業活性化など、民間に直接交付される補助制度をカットしたから。仕分けという方法は否定しないけど、変えよう、変えようという思いが強すぎて空回りした印象。いろんなことに手を出したが、どれも中途半端。結局、東日本大震災の復興をはじめ、重要政策課題が何一つ片付いていない。

 −自治体の運営で苦しいことは。

 Cさん 子ども手当だけど、お金が全額国から出たわけではなかった。地方の財政が打撃を受けた。そのくせ、事業仕分けで地方に出てくるお金がなくなって…。

 Bさん 地方主権と言ったところで、財源がなくちゃ。

 Aさん 民主党政権になってから、党に窓口が一本化されたことも影響があったな。それまでは地元の議員を通して国に要望していたが、地方の声が届かなくなったと感じる。

 Cさん インフラ整備に関してはさっぱりだった。道路の建設や維持なんかはその典型。無駄遣いの象徴のように言われ続けたからなぁ。

 Aさん 地方では未整備の道路が多く、防災への備えも必要だ。あらためて思うけど、「コンクリートから人へ」の合言葉なんて通用しない。声が届かないから、人材交流などで独自に中央官庁とのパイプを作ろうと苦心しなければいけない。

 C 最近は国会議員が地方の要望を吸い上げる代わりに、中央官庁から提案型の要望を求められる機会も増えた。官庁も地方の声が届かないことを心配しているんじゃないかな。

 −衆院選をどう見る。

 C 前回は多少は夢を持ったが、今回はたくさんの政党が乱立して、判断なんてとてもできない。マニフェスト(政権公約)ではいろいろな政策がフランス料理のフルコースのようにきれいに並べられているが、確かな素材が使われているかどうかは食べてみないと分からない。

 B そうそう。環太平洋連携協定(TPP)問題にしても、交渉に参加してから判断するとか言っている。交渉参加後の見通しを持っていないように感じる。

 A 政党が政策を互いに磨き合えばいいが、税金を使ったサービスの競争をするのでは、国の借金が膨らむばかり。政権が入れ替わることが、かえって政党から責任感をなくしている気がする。

 −新政権に望むことは。

 B 日本をどうしたいのか、もう少し丁寧に示して行動してほしい。震災もあったし、中央道笹子トンネルでは老朽化した天井板が落ちた。防災対策もインフラ整備も、すべてを見直さないといけない時期になっている。その方法を間違えると、五年、十年先は手遅れになるかもしれない。

 A 自治体にも地方交付税を受け取っている負い目はある。真に必要なサービスを提供するため、自治体も行財政改革を進めないといけない。ただ、国も地方の厳しい懐事情はわかっているはず。そこを考慮した政策を実施してほしい。

 C 少ない財源の中でより良いまちづくりを進めるためには、自分たちもよく考えて投票しなければならないと思う。自分の一票で当落が決まることもあるのだから。

(衆院選取材班)