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長野ニュース

南信の外国人が見る日本の政治

日本の政治に強い関心を抱くティモシー・パーマーさん。英字新聞を毎日のように熟読する

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 「どうして国のトップがころころ変わるのか理解できない。国際的な信用を失うだけなのに…」。首相がほぼ一年ごとに交代し、国会も政局のために空転するばかりの日本。南信地域で暮らす外国人たちも、この国の未来を心配している。母国を離れて暮らす人たちの目に、日本の今の政治状況はどう映るのか。五人に思いを語ってもらった。

 「鳩山元首相が移転すると言った沖縄の米軍基地。でもすぐに退陣して、話はどこかに飛んでしまった。あれはなんだったのか」

 英会話講師ティモシー・パーマーさん(44)=飯田市、米国籍=は、六年間で六人も首相が変わり、政府の方針が揺れ動いてばかりの日本の政治に強い不信感を抱いている。

 米国は、イラクやアフガニスタンの戦闘で多くの犠牲者を出してきた。今回の衆院選では、日本が戦争放棄を誓った憲法九条の改正が争点の一つになっており、日本の選挙権を持たないティモシーさんも関心が高い。

 同盟国の国民として、日本に望むのは安定した政権の誕生。ティモシーさんは「沖縄の米軍基地は難しい問題だと思う」と前置きした上で「企業でトップが何度も変わったら、取引先との信頼なんて築けない。政府も同じ」と強調した。

 外国人たちが口々に指摘するのは、日本人は真面目な国民とされているのに、なぜ国会が空転するのかという疑問だ。

 十六年前に中国から来日し、日本に帰化した中華料理店経営の丹羽英敏さん(37)=駒ケ根市=は、中国が共産党の一党独裁で、格差の拡大や少数民族の弾圧などが進んでいる内政問題を指摘した上で「国内総生産(GDP)では中国が日本を上回ったが、地方まで豊かさが浸透しているわけではない。日本が精密機器製造業を中心とした高い技術力を持っているのは、真面目な国民がいるからこそ」と語る。

 「時間に正確で、約束は守る。一人一人の礼儀礼節などのマナーも見習うところばかりなのに、なんで国会はあれほど空転するのか」と丹羽さん。「独裁政権だとよくないが、テレビで国会議員が互いの批判ばかり言い合っているのを見ていると、もう少しまとまれないのかと思ってしまう。日本人の良いところをたくさん出してほしい」

 他国も似た考えの人が多い。

 飯田市と中川村で料理店を営む細田ティンさん(48)=タイ出身、日本に帰化=は「タイも政局は多いが、国のトップは日本ほど変わらない。日本の政治家は信頼できない」と厳しく批判。飲食店従業員キムラ・ブレンダさん(48)=駒ケ根市、フィリピン国籍=も「首相は最低でも三年は続けてもらわないと、何もできない」と指摘する。

 生活に直結する景気対策と、経済の立て直しを望む声も強い。

 ブラジル国籍のハット・ダニエルさん(38)=伊那市=は、派遣社員として半年間働いた製造業の事業所から先月解雇された。会社の人事担当者からは「経営状況の悪化による人員整理だ」と説明されたという。

 来日して十三年。派遣労働の規制緩和が進んだ結果、人件費の安い多くのブラジル人が日本の派遣社員として働いていたが、不況が長引く中、次々に仕事を失って母国に戻った。

 「忙しいときは残業の連続で土日出勤も求めたのに、生産が落ち込むとクビにされてしまった。ブラジル人を何だと思っているんだと言いたいが、日本の経済界全体が元気にならないと手の打ちようがないのも分かっている」とハットさん。「日本が誇る『メイドインジャパン』のブランドを復権させるためにも、衆院選で当選した国会議員にはしっかり働いてほしい」と注文した。

(山口登史)