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長野ニュース

<選択の時>(2) 消費増税

10%の消費税を想定して大沢屋が作った価格を二重表示するチラシのサンプル=長野市内で

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 消費税増税を柱とする「社会保障と税の一体改革関連法案」が八月十日に成立し、税率が現行5%の消費税は、二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%に引き上げられる。社会保障費の自然増が年間一兆円を超える今、持続可能な社会保障制度の構築は急務だ。しかし、消費税は低所得者ほど負担が重くなる「逆進性」があり、増税は生活困窮者の家計を直撃する。小売業者も、客離れを心配する。

 「消費税が上がったら、食費を抑えないとね」

 六十五歳以上の高齢者人口比率が37・7%(十月一日現在)と、県内の町では阿南町に次いで二番目に高い南木曽町。自宅でダイコンを漬けていた七十代女性は、作業の手を休めて話した。

 四歳年上の夫と二人暮らしで、合計の年金受給額は年間約二百五十万円。「どうしても月二十万円余りはかかる。ギリギリです」。知り合いの葬儀で、香典を出す時は貯金を取り崩す。

 この冬は寒さが厳しいとの長期予報を聞き、暖房の灯油代がかさむのが心配だ。隣の岐阜県中津川市内も含めて安い店を選ぼうと思うが、運搬に使うガソリン代も気になる。

 「消費税増税は社会保障のためというのも分からなくはないが、議員や役所の経費で節約できるところがあると思う。何とかならんのでしょうか」とこぼす。

 消費税が上がって苦しむのは商品を買う側だけではない。

 「店に並ぶ商品の値段に、消費税分は転嫁できていないのが現状です」。諏訪市や岡谷市で生鮮食品店三店舗を運営する「大沢屋」(長野市)社長の坂口政広さん(40)は明かす。

 売り上げの半分を占める卸売業は取引先に消費税分を請求できるが、激しい価格競争にさらされている消費者相手の小売りはそうはいかない。「他店がチラシに打ってくる値段の、さらにその下をくぐらないと」

 一円でも安く売ろうとすれば、消費税分は上乗せできない。〇四年に税込み価格の店頭表示が義務付けられてからは、税金分の価格転嫁はさらに難しくなった。消費税が8%になると、非常に厳しい。

 外注していたチラシを自前で作ったり、カラー印刷をモノクロにしたりする必死の経費節減を続けている。お客に値上げを理解してもらうため、本体価格と税込み価格を併記する「二重表示」の導入も検討する。値段を上げたのは国策だから仕方ないと、消費者にアピールする。「精いっぱいの抵抗だ」

 消費者と国にはさまれ、苦悩する小売りの現場。政府は消費増税の増収分を社会保障制度の安定や充実のためだけに使うと繰り返す。しかし、所得税などを増税して財源に充てた東日本大震災の復興予算では、復興と無関係な事業へ流用された実態が明らかとなった。大規模な公共事業を復活させようという動きも見え隠れする。税の使い方に、有権者の不信は高まる。

 坂口さんは「せめて税金は、真面目に使ってほしい」と願う。