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三重ニュース

<選挙区をゆく> (3区)定点観測

有権者に駆け寄り、握手を求める候補者=桑名駅前で

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 「選挙区をゆく」の三回目は3区を取り上げる。選挙期間中、唯一の日曜日となった九日、候補者が入れ替わって街頭演説を繰り広げた桑名市の桑名駅前を「定点観測」した。

 曇天の下、吐く息が白くなる。桑名ではこの日の朝、今季初めて氷点下を記録した。まだ人通りがまばらな午前、駅にほど近い国道1号を選挙カーが通るたび、ウグイス嬢が呼び掛ける候補者名が拡声器を通して駅前まで届いてきた。

 午後一時、駅前ロータリーに自民新人の桜井宏さん(56)の選挙カーが横付け。本人は十分ほど前に来ており選挙カーの到着を見計らってマイクを握った。

 中央自動車道でトンネルの天井板が崩落した事故を引き合いに「自民党は国民の安全を守ります」と強調。寒風の中、桜井さんはコートもはおらず、十分にわたって災害時に備えたインフラ整備の必要性を訴えた。

 送迎待ちの数人が、桜井さんに視線を送る。友人の車を待っていた四日市市羽津町の主婦(32)は、消費税増税の話題が出ないことに不満げだ。「聞きたいのは、そこなのに。有権者の反発が怖くて、意図的に触れないんでしょうね」

 タクシー乗り場で客待ちするタクシーの車内にも演説が漏れ聞こえていた。車内にいたタクシー運転手の男性(68)=四日市市西富田町=は「選択肢が少なすぎる」とこぼす。3区は、消費税増税を容認する民主と自民の候補に対し、反対するのは共産候補だけ。「反増税の第三極にも出馬してほしかった」と各地で相次いだ第三極の動きをうらやましがった。

 昼を過ぎても気温は六度前後。間もなく雪もちらつき始めた。

 午後一時五十五分、共産新人の釜井敏行さん(30)の選挙カーがやってきた。別行動していた釜井さんは、二時からの街頭演説に合わせて電車で桑名駅入り。黄色いジャンパーをはおり、スーツの上着ポケットに携帯カイロをしのばせて寒さ対策をする。五分ほどの演説では、消費税増税へ反対する姿勢を鮮明にし「増税しなくても、経済を立て直せるんです」と訴えた。

 ただ、雪のせいか、足を止める人はまばら。演説を聞いていた桑名市の女性会社員(40)は「どこに投票しても消費税は上がるんでしょ。立派な主張も、実現できなきゃ意味がない」と冷ややかだ。

 釜井さんの街頭演説も終わり、駅前が再び静かになったころ、ロータリー近くで友人を待っていた四日市市富州原町の無職女性(72)に話を聞いた。

 前回選では、民主前職の岡田克也さん(59)に投票したが、その後の民主政権には立腹。「民主党はマニフェストをいくつも破った。不満はたくさんありますよ」とまくし立て「でも、どうせここでは強いんでしょ」とあきらめたような口調で話した。

 副総理として全国へ選挙応援に繰り出す岡田さんは、この日も九州にいた。地元の選挙区では候補者不在の選挙カーが「いま一度改革を進めさせてください」と四日市市内を走り回り、桑名駅前では暗くなっても岡田さんの声が響くことはなかった。

(佐野周平、渡辺聖子)