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三重ニュース

<選挙区をゆく> (1区)演説を診る

 選挙戦は残り一週間を切り、舌戦は激しさを増している。今日から五回にわたり、違ったテーマや手法で県内の各選挙区を見つめたい。1区は「演説を診る」と題し、各候補の訴えに着目。主張の力点を探って読み解けば“本音”が見えてくる。

◆川崎二郎さん(58)=自前 目立つ民主政権の批判

 川崎さんの演説はやはり民主党政権への批判が目立つ。野党時代の元国対委員長を経験したこともあり、外交、経済政策の不手際を次々と指摘。「失われた政治への信頼を取り戻さねばならない」と声高に訴える。

 政策課題で最も時間をかけるのは経済。シャープ亀山工場など地元への影響を挙げつつ「円高とデフレをこれ以上放置できない。金融政策にも打って出て、一刻も早く経済を立て直す」と誓う。

 三十年前までの松下電器の勤務経験も披露しながら「野田首相は松下政経塾出身。私が働いている間、あの人は幸之助さんの金で政治を勉強していたのに、何一つわかっていない」と弁舌を振るう。

 消費増税には、社会保障の重要性を繰り返しつつも「経済成長が前提」と自身の姿勢を明らかにする。「軽減税率など弱者対策は不可欠だ。増税の先のあるべき社会保障の姿をまず示す」と明確に主張。演説会に足を運ぶ高齢者層に向けて「孫の世代に負担だけを残していいですか」と問い掛ける。

 顔触れの変わった選挙戦を念頭に置き「津の課題も伊賀、名張の実情も隅々までよく知っているのは私だけ。地域が抱える課題の解決を国政の場で訴えていく」と叫ぶ。

(安藤孝憲)

◆松田直久さん(65)=維新 地方に権限移譲を強調

 松田さんがまず強調するのが、県議と市長の経歴だ。落選した昨年の知事選に触れて「浪人になった」と打ち明けた。知人から出馬を強く促され「今の日本の政治を見ていて、私にもできることがあると決意した」と経緯を語った。

 毎回、演説で最も重点を置くのが党が掲げる「中央集権打破」で、国と地方の関係を変えるべきだと主張する。この日も半分を割いた。

 津市長として合併後の行政のかじ取りをしてきた経験を強調しながら演説を展開。職員削減で財源を生み出すなど行財政改革を進めてきた実績を挙げ「地方に権限を移譲することが日本に一番大切だ」と訴える。さらに市長時代に感じた国会議員と官僚のなれ合い体質にも痛烈な批判を浴びせる。「自分たちの既得権益を放さず、甘い汁を吸う。こんな状況が今も中央で延々と進んでいるんです」

 最後に、これまでの体制に立ち向かう維新の政治姿勢に言及。石原慎太郎代表と橋下徹代表代行の“二枚看板”が首長として実践した改革の成果をアピール。「改革は血と汗。命懸けでやるものだ。中央で政治ごっこをしている時間はない。改革は待ったなしだ。私も身を投じたい」と絶叫した。

(渡辺泰之)

◆橋本千晶さん(44)=民新 半分以上「子ども」関連

 橋本さんがまず強調するのは「一児の母」であることだ。小学五年生の子どもがいることを紹介し「地域の子どもたちを守る」と子育て支援の拡充を訴える。半分以上の時間を「子ども」に関連した主張に割いている。

 政権交代後の民主党の実績強調も忘れない。高校無償化と子ども手当の創設に触れて「政権交代後、約束した政策が少しずつ実現したのは事実だ」と力を込める。民主への強い逆風を意識して「政権が変わり、これまでの政策がストップしてしまっても良いのでしょうか」とも。

 「子ども」の話題に次いで時間をかけるのは、自民党が公約に掲げた自衛隊の「国防軍化」に対する批判だ。徴兵制をイメージしてか「子どもたちが国防軍にとられてしまっていいのか。本当にぞっとする話だ」と訴える。

 橋本さんは演説を通じ「人にやさしい政策・政治」がモットーと説明。前回衆院選で民主党が掲げた「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズと同様、公共事業よりも社会保障費や教育費を重視するべきだとの意味で多用している。一方で「今回の選挙で政権が変わると、人に冷たい政治に戻る」とけん制している。 

(南拡大朗)

◆岡野恵美さん(60)=共新 消費増税反対に4割を

 岡野さんは消費増税反対に演説の四割ほどの時間を費やす。「四年間は増税しないと公約に掲げて政権を取った民主党が自公と談合して決めてしまった。消費増税は国民の審判を受けていない」と批判。次の国会で廃止法案提出を目指す考えを示した。雇用改革による経済回復や政党助成金の廃止などで四十兆円の財源が生み出せるとし、消費税に頼らず社会保障を充実できると呼び掛ける。

 原発廃止にも重点を置く。首相官邸前で行われているデモが全国に波及していることを挙げ「脱原発の民意は高まっている」と指摘。原発即ゼロを実現し「再生可能エネルギー産業を推進して地方に雇用を生み出す」と訴える。

自衛隊を国防軍に改めると主張する自民党や集団的自衛権行使を認める立場の日本維新の会を「危険な思想だ。アジア各国が過剰に反応してしまう」と非難し「今こそ憲法九条を守る」と力を込めた。

 消費増税や原発再稼働などの政策を進めた民主党政権を「財界と米国いいなりの自民党型政治を乗り越えられなかった」と批判。「今こそ根本的な改革が必要だ。悪政の流れを食い止めて国民本位の政治にしよう」と支援を呼び掛ける。

(佐々木礼弥)