文字サイズ

三重ニュース

候補者の横顔 <5区>

 私たちの候補者選びで最も重要な判断材料は政策だ。しかし、その人が歩んできた歴史や生きざま、人柄も大切な要素。日々の演説会や選挙公報では触れることができない“素顔”に迫った。

 (届け出順)

◆内藤弘一さん(48) 共新 深まる県南部への愛着

 政治活動の原点は、大学生だった約三十年前に参加したデモ。核巡航ミサイルを積んだ米空母の横須賀入港を阻むため、現地で声を上げた。長さ四メートルの張りぼてミサイルを手作りし、署名活動もした。渦巻く民衆の怒りに接し「社会を良くしたい」と誓った。

 卒業後、住宅資材会社を経て、県内の民主商工会に勤務。資金繰りに悩む中小業者や派遣切りされた労働者に寄り添った。「必要な情報を調べて助言した経験は、議員として関連の制度をつくるのに役立つ」とPRする。

 四日市市生まれ。父は左官職人、母はパート勤めの家庭で育った。「困っている人を見ると黙っていられない」性分で、高校時代は社会奉仕クラブに所属。東日本大震災や紀伊半島豪雨では被災者宅で泥出しした。

 一九九八年に党職員となり、現在は南部地区副委員長。県南部は「温和な住民性とおいしい食べ物」で愛着は深まるばかり。原発構想で揺れた歴史から、思い入れも強い。

 インターネットでアイデア商品を探すのが息抜き。最近買ったのは水道水の力を使う自動米研ぎ機。独身で弁当男子の身には強い味方。ただ、選挙中はネットも自炊もひと休みし「十二日間を全力で駆け抜けたい」。

 <記者の印象> 三十分の取材予定が二時間余。ドライブが趣味と聞き、愛車の変遷まで尋ねる記者が悪い。それでも回答は終始丁寧。粘り強くおおらかな性格という。車の話は記事に全く生かせなかったが、笑い飛ばしてくれるはず。

 (片山健生)

◆三ツ矢憲生さん(62) 自前 愛読書は丸谷才一など

 座右の銘は「おごらず、卑屈にならず、自分を磨く」。野党に転じた三年余りで、あらためて強く意識した。党も自分も「批判だけでなく、自ら政策を考えていくマインド(精神)を培うことができた」と振り返る。

 伊勢市内の小さな牛乳販売店に生まれた。「ふるさとを少しでも良くしたい」と、疲弊する故郷を見て出馬を決意。二〇〇三年に国土交通省の官僚を辞して初当選した。道路や堤防のインフラ整備に汗をかき、財務政務官時代はエコカー減税・補助金制度などの経済対策にも尽力した。現在は官僚時代の外交経験から、党の外交政策のまとめ役も務める。

 政治家に必要な要素には「ぶれない信念と、国や地域づくりの見識、実現するための知恵」を挙げる。でも「見識や知恵は役人や学者から借りられるが、信念は借りることはできない」。信念の強さは、前回選挙に続き比例との重複立候補を辞退して臨む姿にも表れる。

 東日本大震災以降、住民の津波への不安が強い5区。「災害からいかに国民の生命と財産を守るかが、政治の歴史であり根本。震災を胸に刻んで政治のやるべきことをする」

 読書好きで、山本周五郎や丸谷才一などを好んで読む。

 <記者の印象> 次々と投げかけられる記者の質問にも相手の目を真っすぐ見て冷静沈着に答える。一方で、ある集会では前回選挙で出身地の伊勢市で負けた悔しさから「伊勢で負けたくない」と熱く訴える。とことん実直な人のようだ。

 (中平雄大)

◆藤田大助さん(36) 民前 郷土の尾崎行雄を尊敬

 「地域の疲弊を若い力で解決したい」。この思いが政治を志した原点だ。大学卒業後、県議だった父の秘書や商工会青年部の一員として活動し、地域が弱っている状況を目の当たりにした。

 祖父、父が元県議。政治は常に身近にあった。「若い人が挑戦すれば未来は開ける。起爆剤になれば」。前回の総選挙で原点を形にするため民主党から出馬し、初当選。以来、常に地元の声に耳を傾けてきた。「心の通ったつながりを築いていくことが必要だ」

 今でも胸が突かれる、忘れられない光景がある。昨年九月に東紀州を襲った台風12号の豪雨災害。駆けつけた現場で泥まみれの子どもが炎天下で、一人ぽつんと座っていた。「災害にしっかり対応できる国をつくっていかなくては」。あらためて肝に銘じた。

 新人として駆けた三年半。政治の現状にも危機感が募る。政党は党利党略的で対立し、予算執行もままならない状況だ。「与野党が未来志向で考えられるような国会にしなければ」と力を込める。尊敬する政治家は、有権者のために尽力した、郷土の偉人、尾崎行雄だ。「政治家は保身が見えてはいけない。国民の心が離れてしまうから」。熱っぽく語った。

 <記者の印象> 政治を熱く語る姿が印象的だ。議員生活は仕事中心。趣味の読書も小説から政治、経済本に代わったという。「おっさんなんです」と、明かしたのはもう一つの趣味、雑器探し。笑みがこぼれて、少し安心した。

 (大槻宮子)