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三重ニュース

<1区 激戦の構図>(下) 自共の思惑

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 「訳の分からない政党が横から出てきた」。二十五日に自民党県連が総裁・安倍晋三(58)を招いて開いたパーティー。津市内のホテルに集まった約五百人の支援者を前に、あいさつに立った前職の川崎二郎(65)は声の調子を一段と上げた。

 「訳の分からない」とは、1、2区に候補者を擁立する「日本維新の会」のことだ。“戦争”を繰り広げてきた民主の中井洽(70)が七十歳を機に引退。この中井を「自らご判断された」と持ち上げ、批判の矛先を維新代表の石原慎太郎(80)に向けた。

 「七十の人がやめたら、八十の人がポンと出てきた。二カ月前は自民党総裁に『息子をよろしく』と言ってた人が。今度は『自分が総理大臣になるんだ』って。全くおかしな話だ」。そして最後にこうぶった。「よっぽど気を引き締めて戦わなきゃいけない」

 陣営は「緩み」に神経をとがらせる。

 川崎の地元・伊賀地域は「対民主」というよりも「対中井」で二分されてきた。伊賀市の自民県議は政敵の降板が有権者心理に影響することを危惧する。「地元では『川崎は大丈夫や』と気が抜けている。支援者が安心して投票に行かなかったらまずい」

 陣営が、中井に代わる敵として照準を絞るのが、維新の前津市長松田直久(58)だ。落選したものの、昨年の知事選に出て知名度がある。松田はもともと労組や民主系県議の支援を受けてきた。民主が急きょ、候補を立てたが、票が流れる可能性はある。

 「松田は強いよ。津はどっこいどっこいだ」。津市の自民系県議は危機感をあおる。維新の票の動向も不安材料だ。「関西圏の名張は草刈り場になるぞ」

 川崎は松田が民主ではなく維新で出馬したことを皮肉ってみせた。「知事選で言ってきたことと違うみたい。正直分かんないね」

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 共産新人の岡野恵美(60)は「自分たちの政策を有権者に地道に訴えたい」と民主や自民、第三極とは一線を画す考えだ。

 街宣活動で町を巡ると、生活に苦しむ人々の姿を目の当たりにする。「自営業者は消費増税に耐えられないし、年金暮らしのお年寄りも不安を抱えている。若い人にも希望がない…」。政治が暮らしの足元を見つめることの大切さを実感している。岡野は力を込める。「真の改革ができるのは私たちだけだ」 =敬称略

(この連載は渡辺泰之、南拡大朗、安藤孝憲が担当しました)