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岐阜ニュース

<論点の現場から>(4) 原子力政策

高レベル放射性廃棄物を地下で処理する研究のために掘削した地下坑道=瑞浪市明世町の瑞浪超深地層研究所で

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 瑞浪市西部の林に一メートル四方の看板が立っている。

 「超深地層研究所はいらない」

 近くに住む会社員早瀬浄文(きよふみ)さん(66)らが、十年以上前に立てた。

 原子力発電の高レベル放射性廃棄物を地下深くに埋めて処分する方法を考える施設。深く穴を掘って、その影響を調べるだけで、放射性廃棄物は入れない。将来、放射性廃棄物の処分場にするわけでもない。

 そんな約束があることは、早瀬さんも知っている。いつの間にか周囲の反対の声は小さくなり、看板は風雨で汚れてしまった。それでも早瀬さんの気持ちは変わらないという。

 「自分の代にどうかなることはないが、子どもや孫ら若い人に少しでも原子力発電の恐ろしさを知ってもらいたいから」

 同じ気持ちを抱くのは、地元の市民団体の市川千年(ちとし)さん(63)だ。団体名は「埋めてはいけない!」。

 静かな街に波風を立ててはいけない、過激だと言われたこともあるけれど、3・11以来、近所の人に声を掛けられることが増えた。「原子力はやめないかんね」

 ただ、この施設があるため、瑞浪市は国から「電源立地地域対策交付金」をもらっている。原発そのものがある市町村と同じ趣旨の金だ。本年度は五億二千六百万円。

 既に高レベル放射性廃棄物をたくさん生み出してしまった以上、どこかで処分の方法を確立しなければならないのも事実。

 瑞浪市企画政策課は「われわれの世代で処分の道筋を示さなくてはならないとの考えから、施設を受け入れている。それ以上のものを受け入れるつもりはない」と理解を求めている。(畑間香織)

◆4市2町に億単位の交付金

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 民主党政権は二〇三〇年代に原発稼働ゼロを目指すと表明したが、課題の一つである使用済み核燃料の処分はめどが立っていない。

 特に難しい高レベル放射性廃棄物は、今のところ深さ三百メートルよりも下の地層に埋めるほか現実的な選択肢がないとされる。瑞浪市にある研究所は、その方策を探る施設だ。

 日本原子力研究開発機構(旧動燃)が二〇〇二年に開設し、既に地下五百メートルまで掘削。研究者など七十人が、地下水や岩盤への影響を調べている。

 旧動燃と県などは一九九五年、この施設内に放射性廃棄物を持ち込まず、処分場にもしないとの協定を交わしている。

 一方、瑞浪市が受けている電源立地地域対策交付金は、周辺の土岐、恵那、可児、御嵩、八百津の三市二町も受給。施設の開設以来、年間に総額十三億〜二十億円の財源となっている。(佐久間博康)