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岐阜ニュース

<論点の現場から>(2) 消費税増税

消費税増税が「福祉の向上につながれば」と茶畑で語る内藤武男さん=揖斐川町春日六合上ケ流で

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 「天空の里」を自称する山間部の揖斐川町春日六合上ケ流(かみがれ)地区。幹線道路から三キロほど山奥に入り、コミュニティバスも走らない過疎の集落だ。住民六十人余の大半が六十五歳以上の高齢者。野菜や魚、総菜を週に数回売りに訪れる移動販売車を頼みの綱にする人が多い。

 「この生活が続けられるだろうか」

 白い小さな花が見ごろを迎えている茶畑で、農業を営む内藤武男さん(89)が不安をこぼした。

 妻と二人暮らし。四男一家も同じ敷地内の別棟で暮らしているが、自分たち夫婦の生活の支えは国民年金と農業者年金だ。ただ、畑で育てた茶の売り上げを合わせても、全国の高齢者世帯の年間平均所得三百万円には届かない。

 消費税増税が必要だという政府の言い分は理解できる。欧州では消費税に似た税が20%を超える国がざらにある。「日本の税率は低い方。次世代の負担や将来的な国力を考えると、増税は時代の流れだと思う」。野田佳彦首相の言った通り、増税分がすべて社会保障にあてられるなら、なおさらだ。

 それでも「日用品の税率はそのままで、ぜいたく品だけ消費税を上げる方法もあるはず。もっと研究してほしい」との思いがぬぐえない。

 公的年金も来年十月から減額が始まる。「高齢者の生活は苦しくなるばっかりだ」とため息をついた。

(加藤拓)

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◆低所得者層ほど重荷に

 消費税率は二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%へと引き上げられる見通しだ。野田佳彦首相は八月の会見で、少子高齢化が進み、年金、介護などに関する社会保障費が毎年一兆円規模で増えていると説明。「増収分は全額、社会保障で国民に還元される」と理解を求めた。

 社会保障費がのしかかるのは、県も同じだ。介護保険や後期高齢者医療制度の負担分など本年度当初予算の関連費九百億円は、九年前のほぼ二倍。年間四十億〜五十億円のペースで増加している。

 現行の消費税率5%のうち1%分は、地方自治体に入る地方消費税で、都道府県と市町村が折半。岐阜県の最終的な収入は二百億円前後だが、県の試算では、税率8%なら年間八十億円、10%なら二百四十億円の増収となる。ただ、県側は、社会保障費の伸びに対応するには、制度そのものの見直しが欠かせないとの立場だ。

 消費増税で課題となるのは、年収が少ない人ほど税負担が重荷になるとされる「逆進性」。みずほ総合研究所の試算では、負担額が年収に占める割合は税率10%の場合、年収一千万円以上の世帯は3・3%だが、三百万円未満は7・6%に上昇。低所得者への対策が求められる。

(藤沢有哉)