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愛知ニュース

揺らぐ河村王国 1区で自民優勢

商店街で支持を訴える候補者(左)=名古屋市中区で

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■愛知1区(名古屋市東・北・西・中区)=届け出順

 大野宙光49共新、吉田統彦38民<前><1>、佐藤夕子49未前<1>、熊田裕通48自新

 衆院議員時代の河村たかし名古屋市長とその後継者が議席を守り続けてきた愛知1区。今回の衆院選で、自民党が初の議席奪取に向けて優位に戦いを進めている。全国的な追い風に乗り、新党同士の離合集散などで弱体化が指摘される「河村王国」を脅かす。

 今月十日、未来前職、佐藤夕子さんの演説会。党代表の嘉田由紀子滋賀県知事が壇上に立った。

 「公共事業をやめて『コンクリートから人へ』を実現しているのが滋賀県なんです」。水害対策や子育て支援など、知事としての実績を次々に強調し「ご理解いただけますか」と何度も拍手を求めた。

 だが時を追うごとに、手をたたく人は減っていく。まばらな拍手の中、苦笑を浮かべる聴衆もいた。

 続いて、未来に合流した減税日本代表の河村市長が登壇すると、打って変わって盛大な拍手が湧いた。「やっぱり『市長ラブ』の人が多いですね」。陣営の地元県議は複雑な表情を浮かべた。

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 小選挙区制になって五回の選挙で、1区は河村市長と後継の佐藤さんが民主などから出馬し、当選を重ねた。党への支持というより、むしろ市長の個人人気で議席を守ってきた面が強い。

 だから、佐藤さんも「未来」より、河村カラーを前面に出す。演説でも「1区は市長が落としたことがない選挙区。何としても死守しないと」と声を張り上げた。

 その王国に切り込むのが自民新人の熊田裕通さんだ。地元で県議を五期務め、昨年八月に立候補を表明。選挙区を細かく回り知名度アップに努めてきた。自民候補は過去二回、地元と縁の薄い「落下傘」だった。二〇〇三年以来、久々の地元候補で、地方議員らの応援にも熱が入る。

 当初は佐藤さんを追う立場だったが、自民への追い風に乗り、世論調査で優勢が伝えられるようになった。

 選対幹部のベテラン市議は「河村市政に鉄ついを下すための天王山」と強調するが、熊田さんは「ほめ殺しに遭っている気になる」と慎重姿勢を崩さない。「小泉自民が圧勝した〇五年の郵政選挙に比べて、有権者の反応が弱い」。本当に優勢なのか、自信が持てずにいる。

 攻勢の背景に、佐藤さんが所属していた減税日本の合流問題がこじれ、公示直前まで党名さえ決まらなかったこともある。頼みの河村市長自身も、隣接区で出馬するかどうか、ぎりぎりまで揺れ、態勢づくりが遅れた。

 民主からは、離党した佐藤さんに代わり、比例前職の吉田統彦さんが1区に転身したが「民主票を佐藤さんと取り合っている状況」(陣営幹部)で、伸び悩む。

 敵失に助けられ、「優勢」説に戸惑う自民。十分な手応えをつかみきれないまま、投開票日へ突き進む。