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静岡ニュース

静岡市 「縮図」選挙でも

◆市民「ムードに左右」 陣営「風は感じない」

静岡駅前にある徳川家康の銅像前でビラを配る候補者。日本の縮図とされる静岡市は家康の隠居の地でもある=JR静岡駅前で

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 衆院選の比例の政党別得票率が、全国の数値に最も近く「民意の縮図」とも言われるのが静岡市。「盛り上がりに欠ける」と言われる十四日の衆院選投開票を前に、民意を感じようと静岡市内を歩いた。

 「当たり前じゃない」。全国平均とそっくりの投票行動を知らされると、市庁舎ロビーにいた六十代の主婦は開口一番、答えた。

 静岡駅前や商店街で十〜七十代の男女二十人に尋ねると「意外」と答えたのは四人だけ。「ここまではっきり数字で出るとは」と言いながら、多くは「やっぱりね」と納得顔だった。

 市の中心部の静岡1区は、自民、民主、維新、共産が舌戦を繰り広げる。本紙が六〜九日に行った世論調査で、静岡1区の比例代表の投票先のトップが自民で38・2%。二位に民主の18・7%、三位に公明の15・4%と続いた。

 自民陣営の天野一県議は「大企業が少なく、風で票が動きやすい地域」と評する。今回は全国で自民圧勝の情勢。ならば静岡1区も自民優位となるが、天野県議は「風は感じないね」。対する民主陣営の白鳥実市議は「県連の会議でも『静岡が伸びれば全国が伸びる』とよく言っている。静岡から民主を再生させますよ」と巻き返しを誓う。

 自然や産業、文化の多様性から、市はまさに「国土縮図型都市」と自ら位置付けている。田辺信宏市長は、選挙でも日本の縮図だという結果に、思わず「何と特色のない」。一方で、二〇〇三、〇五年の衆院選に静岡1区から出馬し落選したことを振り返り、「ビュンビュン風が吹き、個人の力ではどうしようもなかった」と中央の風に抵抗できなかったと打ち明けた。

 駅前商店街にある老舗静岡茶専門店。女性店長(68)は「新商品を出すと飛び付くが、すぐ飽きられちゃう。流行やムードに流されやすい気質が選挙にも出てるのかしら」と思いを巡らす。

◆政党別得票率 全国との誤差少なく

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 日本の民意はどの都市に一番よく表れているのか。前回まで過去三回の衆院選について比例の政党別得票率を調べたところ、全国の数値に最も近いのは静岡市だった。各種統計の数値が全国平均に近く「日本の縮図」とも呼ばれる静岡市。選挙に関しても同様の結果が出た。

 本紙は二〇一二、〇九、〇五年の衆院選での自民、民主、公明、共産、社民の得票率を調査した。東京二十三区と全七百九十市で、各選挙を通じ、各党の得票率が全国と2ポイント差以内だったのは水戸、東京都青梅、静岡、福岡県太宰府の四市。このうち静岡市が最も全国の数値に近かった。差を3ポイント以内にまで広げた場合、該当するのは静岡県の伊東市、焼津市を含む全国四十二市だった。

 静岡県は、新商品を試験販売する市場調査の場所としても知られる。

 投票行動に詳しい学習院大の平野浩教授は「得票は人口構成、産業構造などに左右される」と説明する。一〇年の国勢調査で静岡市の年齢別人口や一〜三次産業の就業者の割合は全国平均と2ポイント以内しか違わない。さらに「政策的に大差がない二大政党制となった近年、選挙のたびに票が動くようになった。静岡市でその典型的な傾向が表れたのは納得できる」と分析する。

(社会部・中沢誠、前田寛季)