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静岡ニュース

<有識者インタビュー> 「選挙の争点」 静岡大教授 日詰一幸さん

◆政策の影響見極めて

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 安倍政権の経済政策「アベノミクス」をめぐる論戦が目立つ衆院選。静岡大の日詰一幸教授(行政学)は、原発政策や地方活性化などを挙げ「争点はたくさんある。政策や公約を見て、自分の生活への影響を見極めてほしい」と話し、有権者に投票を呼び掛ける。

 −自民党は「アベノミクスを問う選挙」と位置付けている。

 「アベノミクスだけが争点ではない。閣議決定で集団的自衛権の行使容認に踏み切った政府のやり方は妥当なのか。静岡県内には浜岡原発(御前崎市)があり、原発政策も重要だ。雇用が回復したと言われるが、非正規雇用が増えて所得格差が拡大している。静岡を含めて地方の人口減少が続く中で活性化策をどうするか。争点はたくさんある」

 −このタイミングの衆院選の狙いをどう見るか。

 「いま選挙をすれば、自民にとっては有利だ。野党は準備ができておらず、候補者の擁立が遅れた。安倍政権で女性閣僚の辞任が相次いだが、支持率はほとんど落ちなかった。来春には統一地方選がある。自民は統一選後の国政選挙では、地方議員が機能せずに議席を減らす傾向があり、それは避けたかったのだろう」

 −二年前の衆院選では、野党が乱立して自民が大勝した。今回は一部の選挙区で野党が候補者を一本化したが、政策が違いすぎるために野合批判もある。

 「複数人が当選する中選挙区制度とは違い、小選挙区では勝つか負けるか。巨大与党に対抗するために野党協力は必要だ。静岡では3区で候補者を一本化したが、1区と8区はできなかった。安倍首相の解散表明から衆院選まで時間が短く、調整が難しかった面もある」

 「前回衆院選は得票率だけでみると、自民党は小選挙区で四割強だが、議席は八割を取った。それが小選挙区制度だ。有権者は政権選択の重要な選挙だと自覚しなければいけない」

 −安倍首相は「与党で過半数とれなければ退陣」と発言した。解散時に自民単独でも過半数を大幅に上回る三百議席近いのに、勝敗ラインが低すぎないか。

 「絶対に負けない確信があるからこそ、あえて低いラインを言って謙遜して、国民からの好印象を狙ったのではないか。客観的に情勢を見たら、自民が過半数を割る可能性は極めて低い。来年九月には党総裁選を控えている。今回の選挙で大勝し、長期政権を敷くことを目指しているはずだ」

 −有権者は何を基準に投票すべきなのか。

 「何よりも政策だ。それぞれの政党が訴えている政策や公約を見て、自分の生活にどういう影響があるかを見極めてほしい。今回の選挙は有権者の関心が低く、投票率が下がる可能性がある。自分の生活はどうなるか、今後の日本をどうしたいのか、しっかりと考えて一票を投じてほしい」

(聞き手・宿谷紀子)

 ひづめ・かずゆき 1955年、長野県生まれ。専門は行政学。名古屋大大学院法学研究科を経て、静岡大人文社会科学部教授。静岡県文化政策推進会議委員なども務める。主な共著書に「分権社会の到来と新フレームワーク」(日本評論社)など。