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静岡ニュース

3区、聞こえない原発論戦 御前崎で期日前投票ルポ 

 十四日投開票の衆院選は終盤に入ったが、二年前の前回衆院選と比べて、原発政策に関する論戦が聞こえてこない。中部電力浜岡原発(御前崎市)を抱える静岡3区では、候補者があえて演説で言及しないことも。御前崎市役所にある3区の期日前投票所で、有権者に原発政策への考えを聞いた。

3区の期日前投票所で一票を投じる有権者たち。浜岡原発を抱える地元だけに、原発政策の賛否は分かれる=御前崎市役所で

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◆「安全なら再稼働当然」/「なくした方がいい」

 「電力は必要なので、原発は動かした方がいい」。御前崎市内で民宿を営んでいた女性(84)は、きっぱりと言う。民宿の宿泊者の多くは定期点検などで来る原発作業員で、原発の恩恵を受けながら共存してきた。中電が進めている二十二メートルの防潮堤などの津波対策工事が終われば、再稼働してほしいと思っている。

 御前崎市のサービス業の男性(63)は「浜岡原発が止まってから街に活気がなくなった。前は原発作業員で地元の店がにぎわっていたのに」とこぼす。最も関心のある政策はアベノミクスだとし、「安全が確保された原発を動かすのは当然。それよりも景気回復にはどう手を打つのか聞きたい」と話した。

 一方で、原発の再稼働に異論を唱える人もいる。二十年前に関東から家族と移住した男性(74)は「原発は安全と信じていたけど、福島の現状を見て認識が変わった。もう原発はなくした方がいい」と本音を明かす。

 自宅は浜岡原発から二キロほど。原発への心配は尽きない半面、はっきり反対を訴えたりはしないという。「原発で働く人は多い。再生可能エネルギーがすぐに普及するのは難しく、簡単に原発ゼロとは言えない。だからこそ、候補者はもっと原発をどうするか説明してほしい」と話した。

 3区には自民、民主、共産各党の立候補者がいるが、公示日の第一声で原発政策に言及したのは共産党候補のみ。二〇一一年の東京電力福島第一原発事故後、初めての国政選挙で、原発政策が大きな争点となった前回衆院選と比べると、積極的な論戦は交わされていないのが現状だ。

(宿谷紀子)