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静岡ニュース

<主張点検> 集団的自衛権

◆「安保」「憲法」与野党二分

 安倍政権が七月に閣議決定した集団的自衛権の行使容認は、平和主義を掲げた憲法九条の解釈を変更する安全保障政策の転換点で、衆院選の大きな争点だ。中日新聞社が静岡県内小選挙区の候補者二十六人に行ったアンケートでは、自民の八人全員が行使容認を「支持する」と回答。野党と無所属候補は十八人が「支持しない」と反対した。

 自民の候補者は「現行平和憲法の枠内」「わが国の防衛に限られている」など、厳しさを増す東アジア情勢への備えを理由としている。「支持しない」と答えた候補者のうち、民主の多くは閣議決定による憲法解釈の変更という手法に異議を唱える。共産は「海外で戦争することになる」など強く反対している。

 浜松市中区の弁護士、内山宙(ひろし)さん(40)は、候補者の意見が二分したことに「これまでの専守防衛の理念から大きく転換する重要な問題を、閣議決定だけで決めてしまったことの表れだ」と指摘。国民に賛否を問い、憲法改正の手続きを取るべきだったと力説する。閣議決定のため、政権交代すれば再び変わる可能性があり、「外交や安全保障の面で非常に不安定になってしまう」と危ぶむ。

 富士市の橋口傑(すぐる)さん(88)も自民の全員が「支持」と答えたことを気にして、「この選挙は平和主義の転換点になりかねない。自民が大勝すれば憲法九条の改正に乗り出すと思う」と不安視する。二十歳ごろに中国東北部で終戦を迎え、中国共産党軍に捕まって衛生兵として八年間働かされた。全国の戦争体験者の声を文集にまとめる活動を続けており、「候補者の問題意識は薄いように見えて切ない」と話した。

 「自分たちで国を守ることは必要だが、国論を二分する問題だけにあらゆる選択肢を示してほしい」。こう話す島田市の男性会社員(34)は「何が変わるのか分かりにくく、憲法九条を含めて議論を深めるべきだ」と決定は拙速と強調。自民候補が行使容認を現行憲法の枠内などとする意見にも懐疑的で、日本がテロの標的にされかねないとも心配した。

(衆院選取材班)

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