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静岡ニュース

<主張点検> 「アベノミクス」対立鮮明

◆有権者 「自民の政策は疑問」「野党側は代替案を」

 安倍晋三首相が「アベノミクス解散」と命名した衆院選。金融政策と財政支出、成長戦略の「三本の矢」でデフレ脱却を目指してきたが、国民の多くは景気回復を実感できていない。中日新聞社が衆院選の静岡県内小選挙区の候補者二十六人に行ったアンケートでは、自民の八人全員がアベノミクスを「支持する」と回答。野党と無所属候補は、十七人が「支持しない」、一人が「どちらかといえば支持しない」と、全員が反対に回った。

 自民の候補者は「今後、成長戦略の加速で経済再生に弾みがつく」や「続けなければ地方への景気の好循環はない」などとして推進を強調。「支持しない」と答えた候補者からは「格差が拡大する」「急激な円安の副作用に苦しんでいる」などの意見が並んだ。

 家計の消費支出は前年を下回り続け、国内総生産(GDP)成長率も二期連続でマイナス。県内の有権者からも、現状はアベノミクスの効果が限定的と受け止める声が聞かれた。

 浜松市中区のジャズバー店主、岡田康宏さん(59)は野党候補者に「恩恵を受けているのは大企業や資産家」との見方があるのにうなずき、「中小企業や地方に焦点をあてる政策を進めてほしい」と求めた。

 中区でソフトウエア開発会社を経営する福地三則さん(62)も「アベノミクスは中小企業や地方へのしわ寄せが大きい。自民党が景気回復に『この道しかない』というのは疑問」とした。IT業界は地方を中心に人材不足も深刻だと説明。「行きすぎた円安の是正措置とともに、成長分野の人材確保に道筋を付けるべきだ」とくぎを刺した。

 中区で食品製造会社を経営する鳥居大資さん(43)は「自民は成長戦略でこれから地方へ効果を波及させるというが、日本経済は低成長期に入っている。全体を浮揚させるのは難しいのでは」と首をかしげた。

 半面、街頭演説で野党候補は大半が「景気の上昇が実感できていない」や「非正規雇用労働者が増えている」などの指摘にとどまり、具体的な景気浮揚策はなかなか聞かれない。福地さんと鳥居さんはともに「野党候補者は批判ばかりで中身のある代替案を示していない」と口をそろえた。

 「多くの農家が景気の回復感を感じられず、疑心暗鬼になっている」と話すのは菊川市で野菜を栽培する五十代の男性。選挙区の立候補者の経済施策にも特色がないといい、「市民目線に立って誰もが期待できる主張を聞きたい」と有権者の声を代弁した。

(衆院選取材班)

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