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静岡ニュース

原発地元 賛否知りたいのに

◆野党共闘も影?

 静岡県内で唯一、民主党と維新の党が候補者を一本化し、自民前職に民主元職と共産新人が挑む3区は、中部電力浜岡原発(御前崎市)を抱え、原発から半径三十一キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に含まれる。二年前の前回選では、原発の賛否が大きな争点となったが、今回は選挙戦中盤になっても、論戦は盛り上がりに欠ける。争点化を避けたいという思惑も見え隠れし、せっかく実現した野党共闘も影を落とす形になっている。 

 「原発のお膝元だけに、有権者の関心は高いはずなのに」−。浜岡原発の近くに住む菊川市民らでつくる「浜岡原発はいらない・命を守る菊川市民の会」共同代表の北原勤さん(70)は、公示日の出陣式で原発再稼働の問題に言及しなかった二大政党の候補者にあきれ顔だ。

 菊川市が初めて今年実施した市民アンケートで、浜岡原発は「停止しておいた方が良い」の回答が全体の56%を占めたにもかかわらずだ。北原さんは「候補者は原発に対する率直な持論を訴え、有権者の審判を仰ぐべきだ」と批判する。

 前回選は、民主と自民、共産の三候補に加え、脱原発の急先鋒(せんぽう)として維新から鈴木望さん(65)が立ち、原発政策をめぐり舌戦を繰り広げた。

 今回聞こえてくるのは安倍政権の経済政策「アベノミクス」の是非ばかり。

 さらに、野党共闘で3区での立候補を譲り、比例代表東海ブロックから立つ予定だった維新前職の鈴木さんが、公示直前、九州ブロックに転出したのだ。

 「(比例でも)維新と民主がいると競合するような感じがある。共倒れを防ぐために選挙区を譲って、当選の可能性が高いところを選んだということだ」と、維新の関係者は明かす。

 だが、野党調整で「浜岡原発はやめざるを得ない」と一致したはずの認識は、選挙戦に反映されていないように見える。出陣式で民主元職の小山展弘さん(38)が原発政策に触れなかったことに、鈴木さんの事務所関係者は「維新としては出してもらいたい政策の一つだった」と話す。

 鈴木さんが二年前に獲得した票を、小山さんがどれだけ取り込めるかが鍵とみられるが、民主の支持母体の連合には、電力関係の有力な労働組合も加盟する。

 小山さんは「原発に対する不安がないと言ったらうそになるが、浜岡だけが特殊ではないことを考えると、大きな争点にはならない。世論調査の結果を見れば、必然的に経済の話になってしまう」と説明する。

 一方、自民は公約で原発を「重要なベースロード電源」とし、事実上、原発を国策として推進する考えだ。自民前職の宮沢博行さん(39)は、浜岡原発の再稼働について「政権が前面に出て説明しなければならない。安全性や避難計画などについて、国民との話し合いで判断したい」と話す。

 出陣式で唯一、原発政策に言及した共産新人の松浦敏夫さん(62)は、南海トラフ巨大地震の想定震源域の真上にある浜岡原発は「世界一危険」として、一貫して廃炉を訴えている。

 掛川市の主婦藤田理恵さん(58)は話す。「経済政策を訴えるにも、原発政策など総合的な視点が必要なはず。福島の事故を風化させないためにも、『防災』とセットで、原発について候補者の真正面からの考えを聞きたい」

(衆院選取材班)