文字サイズ

静岡ニュース

<有識者インタビュー> 「原発政策」  立命館大教授 大島堅一さん

◆候補者には説明責任

写真

 原発を基幹電源と位置付ける安倍政権の下で、再稼働へ向けた動きが進む。中部電力浜岡原発(御前崎市)を抱える静岡県にとっても、原発政策は重要な衆院選の争点だ。電力確保のあり方を考える県の有識者会議委員の大島堅一・立命館大教授は「候補者は自らの考えや展望を示し、説明責任を果たすべきだ」と指摘する。 

 −「原発ゼロ」を掲げた民主党政権から自民党政権に変わり、原発政策は大きく転換した。

 「九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)は年明けにも再稼働する見通しだ。一方で、報道各社の世論調査を見ると、国民の半数以上が脱原発を望んでいる。福島原発事故が収束しない中、原発を再稼働させるならば、国民的な合意を得るべきではないか」

 −浜岡原発で地元経済が潤ってきた面もあり、選挙戦ではあまり言及しない候補者もいる。

 「浜岡原発が地元雇用を生んでいるので、再稼働か廃炉かで影響は大きい。利害関係者が多いからこそ、自らの原発政策への考えや今後の展望を有権者に示して、説明責任を果たさなければいけない」

 −浜岡原発から半径三十一キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に入る七市町は、再稼働の際に、七市町の事前了解も必要とすることを盛り込んだ安全協定を結ぶよう、中電に要請している。

 「福島原発事故では、三十キロ以上離れた地域も高濃度の放射性物質で汚染された。事故があればUPZ圏内の住民は避難を強いられ、放射能汚染にもさらされる。再稼働に関して同意を求めるのは理解できる」

 −中電は浜岡4号機の再稼働を目指し、国の原子力規制委員会に安全審査を申請している。

 「中電は原発依存率が総発電量の一割ほど。原発のない沖縄電力を除く電力会社の中で最も低い。一方で、浜岡原発は南海トラフ地震の想定震源域にある。中電は脱原発に転換することも考えるべきではないか」

 「日本のエネルギー政策にとって、本当に原発が必要なのかを考える時期に来ている。政治家や電力会社は、事故が起きた場合の避難態勢や住民への補償などをしっかり説明し、有権者も真剣に見極めてほしい」

(聞き手・宿谷紀子)

 おおしま・けんいち 1967年、福井県生まれ。一橋大大学院経済学研究科博士課程を経て、高崎経済大助教授、立命館大国際関係学部教授。中部電力管内の電力確保のあり方を考える静岡県原子力経済性等検証専門部会の委員を務める。著書に「原発のコスト」(岩波新書)など。