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滋賀ニュース

<現場の声から> 集団的自衛権

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 野洲市のコミュニティセンターで二十二日にあった民間組織「戦争をさせない1000人委員会しが」の発足集会は、二百人近い来場者で埋まった。長浜市のソーシャルワーカー藤井史子さん(63)は「長いこと平和ぼけしていた。危機感を持ってここに来た」と顔を出した理由を口にした。

 危機感の裏には政府が七月に閣議決定した集団的自衛権の行使容認があるという。行使を禁じてきた憲法解釈を変え、他国への攻撃に自衛隊が反撃できるよう道を開いた。藤井さんは「戦争になれば真っ先に矢面に立たされるのは弱者だ」と語気を強める。

 安倍晋三首相は「戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなる」と力説するが、識者は「武力行使の要件があいまい」「時々の政権の判断に委ねられ、立憲主義に反する」「紛争に巻き込まれる可能性が高まる」と指摘する。

 こうした安全保障政策の転換は滋賀でも人ごとではない。自衛隊施設が高島市や大津市など県内にあり、昨秋には陸上自衛隊饗庭野演習場で全国で初めて米軍輸送機オスプレイを使った日米共同訓練があった。国連平和維持活動(PKO)で県内から海外に赴いたケースもある。イラク派遣を経験した県内の元陸上自衛隊幹部の男性は、集団的自衛権行使についてのみならず「時の政権に左右されることはこれまでもあった」と特別視しない。

 集団的自衛権は閣議決定だけでは機能せず、まだ関連法の改正が必要となる。安倍首相は世論を気にしているのか、改正の国会審議は来春の統一地方選後になる。

 自衛隊施設のある高島市内では困惑の声も聞かれる。同市マキノ町大沼の自営業伊東晃さん(46)は「自衛隊に頑張ってほしい思いはあるが(解釈変更の)本当の理由や姿も見えず、判断が難しい」。駐屯地脇の今津町松陽台に住む無職山形忠さん(78)は「日本はいったん戦争を放棄した。それを覆すとなれば野党も含めて国民とよく協議する必要がある」として、選挙を通じて十分な論戦環境が整うことを望んでいる。

 (井上靖史)