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<見極める プロの目>提言その1 譲れぬ条件探そう

◆全国仲人連合会東海地区本部長・南条千代子さん

 白いスチール机の上に積み重なった緑色のファイルを開くと一ページに十数人の顔写真や経歴がずらりと並ぶ。年齢や職業もさまざまだが、願いはひとつ。「結婚したい…」。八畳ほどの小さな事務所はそんな男女、ざっと二万人分のファイルで埋まっている。

 結婚相談所の草分け「全国仲人連合会」(本部・東京)の東海地区本部長で、三重県四日市市で相談所を開く南条千代子さん(69)の仕事は、依頼者にこのファイルを見せることから始まる。

 人生のパートナーを見極めるプロの仲人になって約二十年。「百組ぐらいまで」は覚えていたそうだが、縁を結んだカップルはもはや、数え切れない。

 そんな南条さんが、昔とあまり変わっていないと感じるのが、結婚相手に要求する条件だ。

 男性は「若さ」や「美しさ」を求め、女性は今でも「三高(高学歴、高収入、高身長)」を望むケースが断然多いのだという。

 ある三十代後半の男性は、ファイルを見ると、見合いをしたい相手を次から次へと指さした。「この人と、この人と、この人も」。顔だけで選んだ相手とはだれとも、うまくいかなかった。ある女性は「この人は出世するかしら。収入はいくら…」と迷いに迷い、見合いを繰り返しても結婚には至らなかった。

 「耳目に心地よい条件に惑わされていては、本当のパートナーを見過ごしてしまう」と南条さん。何だか、そっくりだ。「選挙だって同じじゃないの」

 南条さんが思い出すのは二〇〇九年の衆院選。民主党の目玉政策、子ども手当は子育て世代が大いに支持したが、財源不足で一一年には廃止が決まった。

 自民党が政権に返り咲いた二年前の前回衆院選はどうか。消費税率をアップする代わり「あなた(国民)だけに苦労はさせない」とばかりに議員定数の削減を公約したが、先延ばしにされたままだ。

 今回の選挙で、安倍晋三首相が先延ばしの是非を問うのは反対の声が少ない消費税の再増税について。原発再稼働や、安全保障政策など賛否が割れる問題は大きな争点にはなりそうにない。何しろ、菅義偉官房長官は解散前「何を問うか問わないかは、政権が決める」と発言している。

 見合いでいえば、相手から一方的に結婚の条件を突きつけられるようなものか。

 「相手の言うことに振り回されず、自分にとって本当に譲れないものは何かを見極めることが大事」。南条さんはパートナー選びのこつをこう話す。

 前出の三十代後半の男性は南条さんの紹介した女性と結婚にこぎ着けた。顔ではなく、理想の家庭像が似通った女性だったという。「譲れないものは人それぞれ」と南条さん。今回の選挙でも人それぞれの争点が、一票を投じる先がきっとある。

     ×    ×

 衆院選が十二月二日に公示されるが、ちまたでは「争点が分かりにくい」「政権交代にはつながりそうにないし…」といった声が聞こえる。どうすれば投票先や、選挙の意義を見極められるのか。選挙と直接の関係はないが、さまざまな分野の「見極める」プロたちに提言してもらった。

 <なんじょう・ちよこ>三重県鈴鹿市生まれ。高校卒業後、就職した地元の役場で住民サービスの窓口業務に長く携わった。「良い出会いがない」とこぼす大勢の人に出会い、50歳で転職。仲人をプロの職業として組織化した全国仲人連合会(登録仲人約1000人)に所属し、数多くの縁を結んできた。