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三重ニュース

“風”なき中 組織固め 3候補再戦の2区

 県内で唯一、2人の前職がしのぎを削る2区。6連続当選の民主の中川正春さん(64)を、2年前の前回選で比例復活し自民初の議席を得た島田佳和さん(44)が追う。2人に切り込む共産新人の中野武史さん(40)は4回連続の挑戦。大きな“風”がない中、各候補は組織固めと票の掘り起こしに走る。

 「問題は仲間の外。外に向けて支持を広げてくださいっ」。鈴鹿市の小学校。中川さんは演説会に集まった支持者に熱く訴えた。

 小選挙区制が始まった一九九六年に新進党で初当選して以降、六戦全勝。民主からは五回立ち、党への逆風が吹き荒れた前回選でも「牙城」を死守した。ただ得票は七万九千票と前々回より六万票近く落とし、自民に比例復活を許した。党勢回復を印象づけるにも、比例復活を阻止しての七選が目標だ。

 大工場が集まる厚い労組票に、保守層にも食い込む票田を持つが組織固めだけでは限界がある。前回、日本維新の会の候補が獲得した三万四千票の多くは、それまで中川さんを後押ししていた支持なし層が流れたと考える陣営幹部は「もう一度引き寄せたいが決定打はない」と明かす。

 中川さんは演説で必ず「三つの大義」として専守防衛、原発ゼロ、アベノミクス批判を展開する。「争点を明らかにして関心の薄い層を喚起したい」。前々回は追い風、前回は逆風。政権交代という明確な争点がない今回、少しでも風を起こそうと訴えに熱が帯びる。

 「裏口入学」「棚ぼた」−。演説会の応援に立つ県議からは前回、島田さんが果たした比例復活を形容し、容赦のない言葉が飛ぶ。けなしているわけではない。悲願への期待の裏返しだ。

 島田さん自身が最も自覚している。「よそ者だったわたしは、早く仲間に入りたくて二年間頑張ってきた。小選挙区で勝ち、皆さんの本当の仲間にしてほしいっ」。四日市市での決起大会の会場に絶叫が響いた。

 川崎市出身。前回、自民党県連の公募で立候補し五万三千票余を獲得した。知事に転身した鈴木英敬さんが前々回に獲得した票より一万八千票少ない。当選後、四日市市で後援会を組織したものの鈴鹿、亀山の両市では手付かず。組織力では依然、中川さんに劣る。

 頼みは、2区で初の自民議員としての実績。「二十年近く全国でも珍しい自民の空白区だった」。島田さんは演説をこう切り出す。アベノミクスによる財政出動で地域のインフラ整備が進んだとして「国とパイプを持つ議員が必要」と訴える。

 「まずは自民支持層を固める」と陣営幹部。十日に安倍晋三首相が応援に来たのをはじめ、次々と閣僚経験者ら大物が訪れ、追い上げを図る。

 共産の中野さんの選挙活動の中心は街頭演説だ。「勤め先のスーパーで月九十時間近いサービス残業を強いられた」。マイクを握り、大学卒業後に就職した職場での経験を語る。

 過酷な長時間労働を強いる「ブラック企業」や「ブラックバイト」の悲惨さを訴え、アベノミクスへの批判票を狙う。

 陣営は「消費増税反対や憲法九条の堅持を打ち出す共産党への支持は、全国的に広がっている」と期待を寄せる。

(鈴木智重、添田隆典、高畑章)