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三重ニュース

<選挙区ウオッチ> “一強不在”の3区

 3区の民主前職岡田克也さん(61)が自身の選挙期間中、全国応援のため地元にいないのはいつものこと。それでも圧倒的強さで9選を目指す元副総理に、今回は自民新人の嶋田幸司さん(40)と共産新人の釜井敏行さん(32)が挑む。見えない強敵とどう戦い、本人不在の中でどう票を集めるのか。それぞれの選挙事情を追った。

◆岡田克也さん(61)民前

◆釜井敏行さん(32)共新

◆嶋田幸司さん(40)自新

 「ライオンに立ち向かうシバイヌのよう」。七日夜、川越町内であった自民の嶋田さん個人演説会で応援弁士の県議が言った。「ライオン」とは、民主の岡田さんのことだ。

 恐れるのも無理はない。嶋田さんは解散前日に極めて異例となる前職との差し替えで出馬表明。他の陣営が解散日に街頭に出る中、弁護士業務の残務に追われた。本格的な活動開始は一週間後。嶋田さん自身も「相手候補とは天と地ほどの差がある」と認める。演説では「与党の衆院議員が必要」と党の看板を前面に出す。

 民主党の代表代行として応援に駆け回る岡田さんが、選挙期間中に地元に入るのは二日間だけ。「いない間に有権者に直接会って話し、分かってもらうのが勝負」と嶋田さん。そのためには顔と名前を知ってもらうのが第一だ。支える県議も、「差を詰めれば比例復活で助かる」と現実的な目標を掲げる。

 「岡田さんのポスターをあちこちで見かける。圧迫感のようなものをひしひしと感じる」。同じ週末の夕方、四日市市のスーパー前で街頭演説を終えた共産の釜井さんは苦笑まじりに打ち明けた。

 選挙運動の中心は街頭演説。「有権者に対面で訴えてこそ伝わる」との思いから、人の集まりやすい場所を駆け回って声を振り絞る。県内の選挙区で最年少の候補者。演説では、若者の目線で問題を提起する。

 友人が仕事にはやりがいを感じながらも「どうせ派遣だから」と正社員たちの輪から距離を置く姿。ノルマを自費でまかなう「自爆営業」で少ない給料をさらに減らされる派遣労働者。「青年の心を傷つける社会を変えたい」。同年代の苦悩を切実に訴える。

 岡田さんは、民主党への逆風が吹いた前回選も、ほぼ不在の選挙戦ながら全体の六割超となる十二万票余で当選した。

 「岡田克也を応援いただきますよう、岡田に成り代わってお願いします」。岡田さんが埼玉県に遊説中の七日午後、桑名市で妻の多津子さん(57)が声を張り上げた。選挙中は、出陣式などの節目で支持者の前に立つ。

 この日の街頭演説では県議三人もマイクを握った。議会日程の合間を縫い、平日の朝は駅に立つことも。その一人、日沖正信県議は「本人がいない選挙はいつものこと。周りはやるべきことを理解している」。

 岡田さんは六日午後、公示後初めて地元入り。一度いなべ市に入った後、愛知県に応援演説に向かい、再び菰野町へ。移動の疲れも見せず、「安倍政権の暴走を許してはならない」と力説した。終了後はすぐ東京へ。地元に戻るのは、あと一日だ。

 (吉岡雅幸、河崎裕介、渡辺聖子)