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三重ニュース

<選挙区ウオッチ> 自共一騎打ちの4区

 1998年の結党以来、民主が候補者擁立を初めて見送った4区。自民前職の田村憲久さん(50)と、共産新人の松木豊年さん(62)の両陣営が狙うのは、2012年の前回選で民主候補が獲得した5万1900票だ。受け皿を失った票はどこへ−。

◆田村憲久さん 自前

◆松木豊年さん 共新

 「今までで一番やりにくい選挙」。長年のライバルだった民主の不在に、田村陣営の幹部は戸惑いを隠さない。過去の衆院選では、民主候補の票田で自民支持者の縁故者や同窓生をたぐるなど、敵の票を取り崩す戦略に注力してきた。「今回は攻めるべき相手がいない。戦い方が分からない」と打ち明ける。

 陣営の至上命令は、前回衆院選で獲得した八万六千票からの上積み。各種調査で自民優勢が伝えられる中、支持者の投票意欲が落ちることを恐れる。その一方、厚生労働相を務めて集客力が望める田村さんは県外応援に借り出され、地元入りは選挙期間中、四日間だけの予定だ。

 「候補者が地元を長く離れる選挙も初めて。とにかく支持者を固めないと」と陣営幹部。十万票を目標に掲げるが、「今回は票が読めない」と不安がる。

 「アベノミクスをきっぱりと中止する。格差を解消し、国民の生活を立て直すことから始めなければいけない」。多気町で開いた個人演説会で、松木さんは自民の政策を真っ向から否定した。消費増税中止や集団的自衛権の行使反対、原発ゼロ…。久松倫生選対本部長は「自民との対立軸が明確なのは共産だけ。反自民票の受け皿になれれば躍進できる」と力を込める。

 事実、無風と言われる今回の選挙で、陣営はわずかな追い風を感じている。街頭演説で、応援の言葉をかけられる。久松本部長は「これまでほとんどなかったことだ」と驚く。

 前回衆院選で、共産候補者は約一万千票を獲得した。「課題は候補者の知名度不足。いかに名前を売るかがカギを握る」。選挙カーで4区をくまなく回り、政権批判と候補者名の浸透を図る。

 一方、県議選をめぐる内紛で、候補者を立てられなかった民主。「選挙はもう終わったようなもの。寂しいもんだ」。民主の支持母体である連合の地元組織の幹部は、候補者不在の選挙を嘆く。

 県連は比例票の死守を呼び掛けるが、地元組織としての選挙活動は数百枚のポスターを貼り、選挙カーを二日間走らせるぐらい。「小選挙区あっての比例。なかなか士気が上がらない」

 選挙は組織の活性化、引き締めになってきた。「なのに空白なんて」。比例で戦う陣営も含め、一番の“敵”は投票率の低下かもしれない。

 (吉野淳一)