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三重ニュース

<届けこの声>(中) 女性の活躍推進 

 作業服の女性たちが、パソコンを使った設計図の製作から機械での銅線の加工まで、てきぱきとこなしていく。四日市市上海老町の「旭電気」は、従業員二百人の四割が女性だ。

 「ものづくりの現場に女性は欠かせない」。三十年以上、経営のトップを務める前田光久社長(66)は言い切る。手掛ける製品は、電車のドアの開閉に使うコイルや工場の電気設備を管理する装置の部品などで、品質に問題があれば事故や火災につながる。「女性には繊細な注意力と持続力がある。活躍してもらうのは当然の流れだ」と話す。

 ただ同業者を見ると、女性従業員の割合は決して高くない。「女性だからできなくても仕方ない」。そんな風潮が根強くあると感じる。「この国の企業風土を変えるには、政府の後押しが必要です」

 だが、女性の活躍を看板政策に掲げた安倍政権では女性閣僚の不祥事が続き、国会で女性活躍推進法案も成立しないまま衆院が解散された。「子育ての本当の苦労を知らない政治家たちがやっていることだから…」。長女(6つ)を保育所に預けて働く伊賀市愛田の会社員佐々木綾さん(34)は冷ややかだ。

 佐々木さんの勤務先は、ミニブタのショーやウインナーづくり体験が人気の「伊賀の里モクモク手づくりファーム」(伊賀市)。残業を免除したり、土日出勤を減らしたりという社内の制度を活用し、子育てと仕事を両立してきた。働く時間は減っても、効率よく仕事を仕上げるよう心掛け、育休からの復帰後にチーフへ昇格した。

 不安なのは、来春に小学校に入学する長女を、定員に余裕のない学童保育で預かってもらえるかどうか。預け先がなくなれば、これまで通りに働くのは難しくなる。「せっかく女性が社会に出ても、ずっと働ける環境がなければ続けられない」と指摘する。

 子育てと仕事の両立の難しさから、働くのをあきらめる人もいる。津市河芸町中別保の主婦竹内綾さん(35)は今春、長女が小学校に入ったのを機に、十五年勤めた写真サービスの会社を辞めた。職場は土日出勤もあり、家族との時間を確保したかったからだ。

 もともと正社員だったが、結婚や出産をきっかけに契約社員、パートへと雇用形態を変えてきた。「家庭を持つと遅くまで働けない。結局は、正社員からパートに切り替えていく人が多かった」

 竹内さんは今、鈴鹿市の白子駅前の商業施設で幼い子ども向けに菓子や小物作りなどの体験教室を開く「Waraひろば」のボランティアスタッフを務める。スタッフのほとんどが子育て中の母親。みんな「働けなくても社会とつながっていたい」との思いがある。

 社会と関わり、働きたいと願う女性は、地域の中にたくさんいる。竹内さんは「もっと女性が活躍できる場が増えれば」と願っている。

<女性の活躍推進> 安倍首相が成長戦略の要として掲げる。女性が指導的地位に占める割合を2020年までに30%へ引き上げることが目標。だが、小渕優子元経済産業相ら女性閣僚の不祥事が相次いで発覚し、機運はトーンダウン。独自の数値目標を含めた行動計画の策定を企業などに義務付ける女性活躍推進法案も、衆院解散で廃案となった。