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石川ニュース

1区 自民にしこり 前哨戦 金沢市長選余波

第三極票、山野派の動き 注視

 二日公示の衆院選で、石川1区は自民党前職の馳浩さん(53)、民主党元職の田中美絵子さん(38)、共産党新人の亀田良典さん(66)による激戦が濃厚だ。五党乱立の前回から一転、自民に民主と共産が挑むが、保守分裂した十月の金沢市長選のしこりは明らか。政党対決色が強い2、3区と違い、ねじれた構図も前哨戦を激化させる。(衆院選取材班)

 「一から出直す。国会議員になり二十年。初心に帰る」。馳さんは街宣で「出直し」を繰り返す。以前は見られなかった。山野之義さんが大勝した市長選で関係者の反発を招いた対応を反省してのことだという。

 競輪場外車券売り場問題で馳さんは山野市長を問題視。市長選では県議や市議が山野派と反山野派で分裂。馳さんは山野さんの対抗馬を支え大敗した。山野さんが無投票当選した十一月の市長選では、山野さんの出陣式と祝勝会に出て、山野さんと握手するなど「和解」を演出した。

 市長選とその後の一転した行動に自民内でも批判の声が高まったが、馳さんは「出直し」に強い決意。組織に頼らず、時間があれば一人で街宣。ごみ収集など職場体験も続け「市民目線」をアピールする。アベノミクス前進や安全保障などの課題に触れ実績も強調するが、市民派を前面にした“山野戦術”にあやかりたい思いがにじみ出る。

 「働きながら子育てをし、老後も安心し住み続けられる環境を築きたい」。東京から出身地にUターンした田中さんはあいさつ回りに奔走。連合石川や政策協定を結んだ社民党県連の推薦を得て、徹底した握手戦術で浸透を図る。出馬会見が十一月二十五日と遅れたが知名度を生かす考えだ。

 陣営は民主を離党した県議会会派・県政石川の議員とも非自民で結束を図り、反自民、反馳票の獲得に動く。ただ、国政選挙で民主勢力の核をなしてきた故・奥田敬和元運輸相に連なる勢力「奥田党」は瓦解(がかい)。連合石川などの組織に頼らざるを得ないのが実情だ。

 街宣で田中さんは非正規雇用や女性議員が少ない問題などを指摘。若者雇用、女性問題に積極的に取り組む意欲を示し「弱者に優しい社会、再チャレンジできる社会にしたい」と訴える。

 「皆さんの思いで、行動で政治を変えよう」。昨夏の参院選に続く国政挑戦となる亀田さんは、街宣などで消費税に頼らない社会保障拡充などを訴える。

 年金が少なくヘルパーを頼むのをやめようかと悩む近所の高齢者、たった一人の兄を戦争で奪われた母親など身近なエピソードを交え、社会保障充実や集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回などを主張する。

 陣営も十月の県議補選、市議補選で議席を獲得した勢いを追い風にしたい考え。亀田さんも「参院選の時より反応が温かく、手を振ってくれる人も多い」と手応えを語る。市長選での保守分裂の修復が追いつかない状況について党関係者も好機ととらえるが、超短期決戦だけに陣営幹部は「まずは足元の票固め」と組織内の結束と浸透を急ぐ。

 前回は維新、未来と「第三極」候補が五万票超を獲得。その票がどこへ流れるか。山野派の一部は、態度を一転させた馳さんへの反発を強め、ギリギリまで独自候補擁立を画策した。こうした層がどの陣営支持に回るか。関係者も注視する。