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岐阜ニュース

業界団体トップに聞く 衆院選の争点・アベノミクス

 衆院選の投開票が四日後に迫ってきた。大きな争点の一つが、安倍晋三首相が進めてきた経済政策アベノミクス。一部の輸出企業に恩恵をもたらす一方、地方で景気回復を実感する中小企業は少ないとされる。アベノミクスは県内経済にどんな影響を与え、当事者はどんな思いを抱いているのか。業界団体のトップに聞いた。(宇佐美尚)

県商工会議所連合会 村瀬幸雄会長(57)

 −県内の経済状況をどう見ているか

 「アベノミクスの恩恵が地方には届いていない。もちろん、一部の大手輸出企業や工場は年末の賞与も出ているだろうが、多くの中小企業に実感はないだろう」

 −なぜ地方に浸透しないのか

 「人、もの、カネが首都圏に集中しすぎているから。この地域は名古屋や豊田に近くて、地方の中でも恵まれた地域だが、それでも開業率は高くないし、廃業も多い。首都圏集中は経済の仕組みを考えれば効率的だが、その結果、地方の生産人口は減ってしまう。それが一番の問題だ」

 −円安も進んでいる

 「その結果、これからどうなるのかという不安感が増している。だから設備投資をするにしても、銀行からの借り入れではなく、手持ち資金で古くなったものを買い替える程度にとどめてしまう」

 −消費税の再増税が延期された影響は

 「県内経済にとってマイナスにはならない。景気回復に向けて時間的な余裕ができるから、いろんな選択肢も増える。ただ、次の延期はない。二〇一七年四月に消費税が上がる前提で準備をしなきゃいけない」

 −政治に求めるものは

 「成果がみえるような政策を、どんどん打ってほしい。大事なことは地方が生き生きしていくこと。東京への集中を改め、地方が元気になれる道を示してほしい」

    ◇

県工業会 河合進一会長(66)

 期待していた法人税改革は実現しないままだ。東南アジアでは20%台が中心の法人税が日本では35%程度。医療機器や製薬の業界を中心に規制も強い。だから生産拠点の海外流出という流れが止まらない。減税や規制緩和をして、国内にいても海外企業と同じ土俵で競えるようにしてほしい。

 県内の製造業は大半が国内市場相手の中小企業で、円安になっても利益は回ってこない。このまま人口減少が進めば、国内市場だけでは企業が存続するのは難しくなる。技術を持っていても立ちゆかなくなり、ものづくりの土台が崩れてしまわないか心配だ。

    ◇

県商店街振興組合連合会 日比野豊理事長(66)

 消費税増税前に化粧品や高級服は多少の駆け込み需要があったが、商店は厳しい状況が続いている。アベノミクス効果は商店街には届いていない。

 飲食やサービスの店はまだしも、特に物販の店は大型店に押されて後継ぎの確保も難しい。この十年で連合会への加盟店は三分の二に減ってしまった。でも、これからさらに高齢化が進む中で、地域密着の店はどうしても必要だ。

 東京への一極集中を改め、地方の人口減少を食い止める施策を期待したい。それが地方の活力につながり、商売人も消費者も生きていけるようになる。

    ◇

県建設業協会 小川弘会長(74)

 公共投資が増えて業績が良くなったと思われがちだが、とんでもない。アベノミクスの広がりは鈍く、民間投資は弱いまま。国の公共投資は増えても地方は厳しく、何より人件費や資材の高騰で利益が出せる工事が少ない。

 不景気と公共投資の抑制で、県内の建設業者はこの二十五年ほどで二割くらい減ってしまった。働く人も少なく重機も足りない。急に公共投資を増やされても、業界は対応できない。

 公共投資は必要な分を安定的に行ってほしい。その上で、民間の工事が増えるのが一番ありがたい。そのためには景気回復だ。