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岐阜ニュース

岐阜自民、主役なき戦い 候補者、県外応援に奔走

 十四日投開票の衆院選で、岐阜県の全五つの小選挙区では、県外を応援で回るために自分の選挙区を留守にする自民党候補が目立つ。強い支持基盤を持つ上、多くが閣僚や党要職を経験しているためで、十二日間の選挙期間中、地元入りの予定が一回もない候補も。各陣営は組織の引き締めに躍起だが、支持者から不満の声も漏れる。

 「本人不在での選挙戦。私も心細いですが、力を貸してください」。2区の大垣市内で七日夜にあった自民前職棚橋泰文さん(51)の演説会で、夫人が支持者に頭を下げた。

 元科学技術担当相で九月から党幹事長代理を務める棚橋さんの最後の地元入りは、支援団体との会合があった公示六日前。全国を回るため、選挙期間中だけでなく投開票日も不在の予定だ。陣営幹部は「党で次代のリーダーになってほしいから、全力で支える」と表情を引き締める。ただ、演説会場にいた無職男性(82)は「ちょっと寂しい。顔を見せてほしかった」。

 これに対し「選挙本来の姿ではない」と切り捨てるのは、棚橋さんと一騎打ちで戦う共産新人の森桜房義さん(58)の陣営幹部。「彼は今、候補者として有権者の審判を受けるのが最大の役割のはず」と話した。

 1区で民主、共産両党の新人と争う自民前職は、郵政相や党総務会長を歴任した党の看板女性の一人だ。党本部からは当初、九日間の県外応援を要請されたが、交渉で六日間に。それでも二〇一二年の前回選の二倍で、本人は「後援会が頑張ってくれるはず」。ただ、陣営からは「主役が不在だと、緊張感を保つのが難しい」との声もこぼれる。

 岐阜自民は、支援団体や地方議員の多さで他党を圧倒、「自民王国」とも呼ばれる。小選挙区制で行われた過去六回の衆院選のうち、郵政選挙の〇五年と民主に政権交代した〇九年を除く四回、五小選挙区で全勝している。国会議員は順調に当選を重ね、今回出馬した前職五人のうち四人が閣僚経験者だ。

 拉致問題担当相などを務めた5区の自民前職も、五日間が県外。留守は夫人らが守る。愛知や三重の県全域より広い4区の元国土交通相の自民前職は「留守が多いと、選挙区全域を回れなくなる」(陣営幹部)と、応援要請の一部を断って、不在を二日間にとどめた。