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岐阜ニュース

抱える課題、大きな差 岐阜4区、本州で2番目に広大

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 前職と新人の3人が舌戦を繰り広げている衆院選岐阜4区。飛騨、美濃両地域をまたぎ、岩手2区に次いで本州で2番目に広い小選挙区だ。南北に長いため、同じ選挙区内でも気候風土や主要産業、生活環境は大きく異なり、遠方の土地になじみが薄い。候補者は、有権者の多様な声を受け止められるのか。

 ■基準

 高山市を車で出発し、東海北陸自動車道で田園が広がる郡上市を通り過ぎ、東海環状自動車道を乗り継ぐ。さらに東へ向かうと、ゴルフ場が立ち並び、電車で五十分ほどで名古屋に行けるベッドタウンの可児市へ入った。到着までおよそ二時間半。車窓からの景色は目まぐるしく変わったが、ここまですべて同じ岐阜4区だ。

 「飛騨を地盤にする候補者は、どんな活動をしているか分からん。何を判断基準にすればいいのか」。買い物をしていた可児市の無職加藤貞行さん(70)は困惑顔で話した。

 その日の午後に美濃加茂市を訪れると、美濃太田駅前でタクシーを待っていた会社員鈴木秀和さん(45)=川辺町=が「選挙中でも候補者の姿はほとんど見ない。人柄も政策も伝わってこない」と漏らした。

 ■要望

 六市七町二村からなる岐阜4区の総面積は六千四十平方キロメートル。岩手2区の七千六百九十平方キロメートルに次ぐ。県全体の57%を占め、全国の二十三都府県の各面積を上回る。有権者数は十二月二日現在で三十四万二百六十五人。小選挙区比例代表並立制が導入された一九九六年の衆院選から現在の区割りになった。

 当然、地域によって政治家への要望はさまざまで、抱える課題も異なっている。

 山あいに位置し、人口に占める六十五歳以上の割合が50%を超える高山市高根町の無職中島俊江さん(66)は「常勤医がいないのは不安。過疎地域のことも考えて政治をして」と願う。「電車やバスの本数を多くして、名古屋へのアクセスを良くしてほしい」と望むのは可児市の住宅街に住む主婦(65)。高根町の現状を伝えると「山間部と言えば白川町周辺。飛騨地域のことを言われてもピンとこない」と首をひねった。

 ■意識

 「広すぎる選挙区が投票先の判断を難しくしている」と考える有権者は多い。

 朝日大(瑞穂市)の三田清教授(政治学)は「選挙区が広大だと、政治家が各地域に足を運べる回数も限られる。地域の代表である国会議員を見る機会がなければ、有権者は政治を遠いものだと感じる」と指摘する。

 とはいえ選挙制度や区分けの見直しは、一票の格差の問題や法改正が必要なことから実現は難しい。「有権者は選挙のときだけでなく、日頃からそれぞれの地域の課題を意識することが大切。候補者も、普段から各地域に小まめに回って国政への声に耳を傾ける必要がある」と話す。

 【岐阜4区より面積が小さい23都府県】

三重県、愛媛県、愛知県、千葉県、福岡県、和歌山県、京都府、山梨県、富山県、福井県、石川県、徳島県、長崎県、滋賀県、埼玉県、奈良県、鳥取県、佐賀県、神奈川県、沖縄県、東京都、大阪府、香川県

※面積の大きい順

◆記者の眼 

 今回の取材で初めて、可児、美濃加茂両市を訪れた。ベッドタウンと現役最年少市長がいる街。その程度の印象しかなかった。

 だが、市街地に足を踏み入れると、見渡す限りに並ぶ建物の多さに驚いた。郊外では、山々が広がる意外な光景も見られた。両市を中心とした中南部を「可茂」と総称することも初めて知った。

 実際に行くことで、どこか遠い土地だった美濃地域に心なしか親近感が持てた。選挙以外でも行政や住民間で交流やつながりがあれば、「同じ選挙区の仲間」としてお互いの地域への関心も高まると思う。

 (酒井翔平)