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岐阜ニュース

<「この道」はどこへ>(2) 女性活躍 いかせる環境ありますか?

 「契約期間は二人目(の子)をつくらないと約束できますか」。男性面接官が表情も変えずに放った質問に耳を疑った。再就職を決意して二カ月余り過ぎた昨年の冬。書類選考で十社近く落とされた末にこぎ着けた面接だった。「やっぱり女を採るのはリスクなんだ」。折れそうになる心をなんとか保ち、会場を後にした。

 瑞穂市別府の森山ちひろさん(33)は、会社員の夫(32)と二歳の長男の三人暮らし。一年間の不妊治療の末にようやく授かった息子はいとおしかった。臨床心理士として精神科クリニックで働いた経験もあったが、専業主婦で構わないと思った。

 それでも三年が過ぎたころ、再び働きたい思いが募るようになった。「自分の価値って何だろう」。営業職で県内を飛び回る夫は毎朝六時半に出勤し、帰宅は夜九時を過ぎることもある。疲れ果てた夫に遅い晩ご飯を用意しながら、養われているという罪悪感を感じずにはいられなかった。

 就職活動を始めて半年近く、ようやく手にしたのは岐阜市内の鍼灸(しんきゅう)院の受付のパートだった。週四日、一日七時間半の勤務で月収八〜九万円。長男を預けた私立幼稚園代四万円を差し引けば、家計の足し程度だが、「育児や家事とのバランスを考えると今の私にはこの働き方がちょうどいい」。

 安倍晋三政権は、二〇二〇年までに正社員の女性の管理職を三割まで増やすという。年間百三万円まで認められていた扶養控除も無くしてしまおうと言っている。すべては「女性が活躍するため」だそうだ。けれども、パートの自分にとって管理職は現実的でないし、年間百万円程度の稼ぎでは、扶養控除が無くなれば家計の負担が数万円増すだけだ。

 きょうも朝五時に起きて夫と自分の弁当を作る。ふと頭をよぎるのはこんな思いだ。「女は正社員か、主婦か、どちらかしか選べないの?」

 (松野穂波)

◆この2年 待機児童・出生率わずかに改善

 安倍晋三政権は経済成長戦略の柱の一つに「女性の活躍推進」を掲げる。2020年までに指導的地位にある人の3割を女性が占めるようにするほか、子育て世代が働きやすい環境を整えるため、保育所の定員を5年間で40万人増やすことなどを目指すとしている。

 保育所の整備が進んだ結果、政権発足当時、2万5000人近くいた待機児童はこの2年で2万1000人余に減少。1人の女性が生涯に何人の子どもを産むかを表す合計特殊出生率は1.39から1.43に微増した。

 ただ、衆院解散で国会に提出されていた女性活躍推進法案は廃案に。女性の社会進出を妨げるとして見直しを打ち出した配偶者控除は議論が棚上げになった。

 (小笠原寛明)

◆中日ボイスから 女性活躍の政策で賛否はほぼ二分

 インターネットを通じた本紙の読者アンケート「中日ボイス」は10月、女性の活躍政策について質問。

 肯定的な回答は46%、否定的な回答は50%と、賛否が二分した。

 意見欄では、「女性の活躍イコール働く女性の出世みたい。正規雇用で働く女性が一番偉いと思われているようで不快」(岐阜県、53歳パート女性)、「子育ては会社にとって不都合な期間ではなく、会社が伸びるために必要な人材を育てる期間と捉える会社が増えれば女性の活躍できる社会が広がっていくと思う」(同、45歳自営業男性)といった声が寄せられた。