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福井ニュース

アベノミクス明暗 大手好景気も、中小冷ややか

 今回の衆院選は安倍政権の経済政策「アベノミクス」の是非が大きな争点の一つ。上場企業の業績や株価などの指標が改善する半面、現時点では特に大企業と地方の中小企業との格差を拡大させただけとの指摘もある。県内企業の関係者はどうみているのかを探った。

 「アベノミクスが確実に地方にも波及してきた」「大幅な増収増益だ」。今秋の県内大手企業の中間・本決算発表では景気の良い言葉が飛び交った。半面「消費増税による住宅着工戸数の落ち込みの影響は想像以上」(フクビ化学工業)、「原燃料費の値上がりを考えればこれ以上の円安は勘弁願いたい」(セーレン)との声も。今後に対する期待の一方、恩恵を帳消しにしかねない「副作用」への懸念も相次いだ。

 中小企業の反応は冷ややか。「この二年、地方の中小に恩恵はなかった」と言い切るのは大野市の織物会社社長(64)。アジアから輸入するポリエステル糸などの原材料費は上昇し、原発の運転停止で電気代も上がった。「完全にコスト高。今春の賃上げムードも苦しかった」とぼやく。

 伝統産業の眼鏡産地でも厳しい状況は変わっていない。「国内の大手企業を引き上げようというのがアベノミクス」と突き放すのは鯖江市の眼鏡枠メーカー社長(55)。「富が上から下へ降りてくるはずない。商売をする以上、自分のところで取れるだけ取る」。強いところを伸ばして波及効果で底上げしようというアベノミクスの仕組みそのものに懐疑的だ。東京都内では高額な自社製品の販売が順調だが「年明けに比べてプラスチック材料が一割高。川下だけに恩恵は分からない」。

 原発などを取引先とする敦賀市の設備資材会社は東日本大震災以降、売上高が三割以上落ち込んだままだ。同社会長(66)は「アベノミクスは継続することで実感が出てくる」として次こそは地方の番だとみる。また「最適な電源構成比率『ベストミックス』を早く示し、原発を安全運転することは福井の経済にとって大事」と原発再稼働に期待を寄せる。

 (北原愛、増井のぞみ、尾嶋隆宏)