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福井ニュース

区割り変更の影響は 福井市

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 衆院議員の定数削減に伴い、三つの区が二つになった福井県。二〇〇六年に合併する前の旧清水町と旧越廼村は、丹生郡として3区に組み入れられ、そのままの状態が続いていたが、今回の選挙で福井市全域が1区となった。住民はどのように見ているのか。歩いてみた。

 公示から荒天続きで日本海の荒波が波しぶきを立てる越廼地区。前回一二年の総選挙では旧3区のポスター掲示板が並んでいたが、今回から1区の掲示板に、三候補者のポスターが貼られている。

 「区割りの変更? 関係ないよ」。海沿いのカニ専門店で越前がにを販売する男性(68)は意に介さない様子。「応援する政党で決めていた。候補者が変わったところで迷いはない」と断言する。

 「影響はない」との声が聞こえてくる中、選挙事務所に詰める自営業男性(65)は「候補者が変わったことが周知できるだろうか」と危機感を募らせる。男性は「昔から同じ候補者の名前を書いてきたお年寄りは今回も同じように投票してしまう可能性がある」と厳しい表情で話した。

 事務所の留守番をしていた女性(56)は「前から『なんで同じ福井市なのに違う候補に投票するの』と思っていた。ようやく福井市の仲間入りができた」と感慨深げ。一方「顔触れが一斉に変わって盛り上がりに欠ける。三人の中で、誰が越廼のことを考えてくれるのか分からない」と不安そうに話した。

 旧越廼村と同様、区割りが変わった旧清水町でも期待と戸惑いが広がる。福井市と合併した当時に町長だった斎藤三哲(みちあき)さん(81)=福井市在田(あいだ)町=は「以前から福井市の中で二つの区割りがあることに違和感を感じていた」と話す。斎藤さんは「地元の議員が国会議員に陳情に行く時、影響があった」とも指摘する。

 福井市議団が国会議員に陳情する場合、通常は1区選出議員の元を訪れる。普段から選挙活動などを通じて関係の深い市議は腹を割って話せる。しかし、旧清水町から選ばれている福井市議が国政選挙で支援するのは旧3区選出の議員。「『市議団』として陳情に行っても、国会議員との関係は薄い。居心地も悪かっただろう。これからは堂々と国会議員と対面することができる」と期待する。

 福井市、美山、清水町、越廼村が合併して八年。ようやくねじれが解消された。斎藤さんは「長かった。合併というのはそれだけ時間がかかるものなんだなあ」とつぶやいた。

 (布施谷航)

 <区割り変更> 昨年6月に施行された衆院小選挙区の定数を「〇増五減」する区割り改定法に基づくもので実際の運用は今回の選挙が初めて。福井や山梨など5県で議席が1つずつ減った。福井県は3選挙区から2選挙区になった。1区は福井市、永平寺町のほか奥越、坂井地域を含めた計6市町。2区は丹南、嶺南地域の11市町。