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福井ニュース

原発城下町に吹く風は 「0増5減」新2区の行方

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 来月二日公示の衆院選から、一票の格差を是正する「〇増五減」で選挙区が三から二に減る福井県。新2区は全国最多となる十四基の原発を抱える県南部を中心とした旧3区に、原発のない鯖江市など旧2区の一部が加わる。原発の再稼働が衆院選の争点に浮上する中、新たな区割りは“原発城下町”の選挙戦に影響を与えるか−。

 「(原発立地自治体の)隣々接の鯖江の苦労、悩みがあると思う。その立場を踏まえ、皆さんに原発を理解してもらい、日本のエネルギー、福井の産業を元気にしたい」。今月二十九日、鯖江市中心部であった事務所開き。新2区から立候補する自民前職の高木毅さん(58)が、集まった支援者に声を張り上げた。

 日本原子力発電敦賀原発などが立地する敦賀市出身。旧3区では原発による地域経済の活性化を訴え、連続五回当選した。鯖江市は旧2区から比例代表北陸信越ブロックに回る自民前職の山本拓さん(62)の強固な地盤。事務所開きの後、二人そろってあいさつ回りに向かった。

 福島第一原発事故後、敦賀原発から半径三十キロ圏内の同市は住民避難の対象地域に加わった。旧3区と同じ選挙区になり、原発をより身近な問題ととらえる市民は少なくない。

 「拓ちゃんを県議時代から、ずっと応援してきた」と話す市内の酒店経営の女性(65)も「今回は自民とばかり言っていられない」。立地する敦賀市は原発の交付金などで潤うが、鯖江市は蚊帳の外。「メリットがないのに、原発のリスクだけ背負わされるのは嫌だ」と語る。

 新2区入りする旧2区は同市のほか池田町と越前市の一部で、有権者は約六万七千人。新2区全体の四分の一ほどを占める。二〇三〇年代に原発ゼロを掲げる民主党は「選挙戦に与える影響は少なくない」(県連)と集票に期待を寄せる。同党新人の辻一憲さん(49)は避難計画が原子力規制委員会の審査対象から外れていることを問題視し「国が責任を持ち、規制委の審査に加えるべきだ」と訴える。

 ただ、その民主もあまり脱原発を前面に出せば、原発の集中する旧3区の有権者や支持団体の電力総連の離反を招きかねず、辻さんも「単純に原発反対では済まない」と頭を悩ます。

 池田町出身の共産新人、宇野邦弘さん(63)は「原発は直ちに廃炉にして、解体作業に取りかかるべきだ」と訴える。

 福島原発事故後、福島県から鯖江市に移住した柑本(こうじもと)修さん(45)は「安全な原発などなく、再生可能エネルギーを活用するべきだが、自民は力の入れ方が足りない。民主が脱原発を目指すのはいいけど、福島の事故対応のまずさを見ると政権担当能力に不安がある。どこに一票を投じたら…」と迷っている。