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福井ニュース

<激動 解散は突然に>(中)民主 波乱の船出

 「今回の衆院選には出馬しないという選択をしました」。福井2区の民主党公認候補に内定していた元衆院議員の糸川正晃さん(39)が突然の不出馬を表明したのは、衆議院解散前日の二十日。“糸川ショック”の衝撃が関係者に走った。

 十八日には福井1区から出馬すると見られていた元衆院議員の笹木竜三さん(57)が不出馬を表明。結党以来初めて県都1区に候補者を擁立できないだけでなく、県内候補者が空白となる異常事態に。選挙を取り仕切る玉村和夫幹事長は「じくじたる思い」と悔しさをにじませた。

 「前回衆院選以降、福井で活動する姿を見ていない。糸川は本当に福井2区から出るのか」。県連関係者の中にはそうささやく人もいた。「やっぱり」「まさかこのタイミングで」。不出馬表明をさまざまに受け止めた。ある幹部は「糸川は落下傘。人材育成に取り組んでこなかったことが根本原因」と解説した。

 「批判票の受け皿として何としても候補者を立てなければ」。玉村幹事長は二十日から代わりの候補者探しに走った。ここで候補者を立てられないと民主の凋落(ちょうらく)を党内外に示すことになる。「擁立できないなら事務所を閉めた方がいい」。ある幹部は強い口調で玉村幹事長に迫った。支持団体の連合福井からも「解散直後の三連休明けまでに擁立を」と求められていた。

 党員で、現職でなく、来年の統一地方選への立候補を目指す人。これらの条件で検討を進めた。二十一日の午後一時すぎ、玉村幹事長は衆議院解散を報じるテレビも見ず、折衝に奔走。県連事務所に入った時には携帯電話の充電器を手にしていた。それだけ交渉を重ねた。同日夕方には「なんとかなりそうだ」と丸一日前の険しさとは違い、一瞬柔らかな表情を見せた。

 玉村幹事長は水面下でNPO法人理事長で県連青年局長の辻一憲さん(49)と接触。手応えは好感触だった。参議院一期、衆議院五期を務めた故辻一彦さんの長男。新福井2区に入る嶺南にも知名度がある。来年の県議選のために政治団体を設立したところでもあり「盛り上がっている時で適任」と判断した。支援者や家族の了解を取り付け、辻さんも二十二日深夜、最終的に立候補を決断した。

 二十三日、幹事会を開くとともに党本部にも公認申請。党本部も即断し、公認を内定、記者会見にこぎ着けた。準備不足に泣くのか、困難を乗り越えた団結力を発揮するのか。投開票日まで、あと十八日。