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福井ニュース

<激動 解散は突然に>(上)自民 選挙区争奪水面下で

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 衆議院解散二日前の十九日午前十時。県内小選挙区選出の自民党衆院議員(当時)三人が、東京都内の党本部に集まり、ある文書に署名した。県内の新1区には党政調会長の稲田朋美氏(55)=旧1区、新2区は元国土交通副大臣の高木毅氏(58)=旧3区=が出馬し、旧2区の党県連会長の山本拓氏(62)が比例代表北陸信越ブロックに回ることに合意する内容。衆院定数の「〇増五減」に伴う調整が決着を見た瞬間だった。

 今回の衆院選から県内小選挙区は三から二に減少。前職の三人は全員が選挙区での立候補を希望していたこともあり、党県連内で“選挙区争奪戦”が静かに展開されていた。

 昨夏の参院選では当時県連会長を務めていた稲田氏が、旧2区から新1区に加わる奥越地方などでの候補者遊説に同行。行政改革担当相として忙しい中で新1区での活動に姿を見せるたびに、県議らからは「やりすぎだ」との声も上がった。

 ただ、大票田の福井市を以前から地盤とする稲田氏に関しては「新1区で決まりだろう」というのが党関係者の共通認識で、山本氏と高木氏のいずれかが新2区の候補者になるとささやかれていた。調整難航を象徴するように、一時は山本氏と高木氏で選挙ごとに選挙区候補者と比例代表候補者を入れ替える「コスタリカ方式」の導入も取り沙汰されたほどだった。

 その中で新2区となる旧3区の嶺南地方を拠点として山本氏が党支部を開設。「高木氏を支援してきた嶺南地方の県議が激怒した」とある関係者は証言する。候補者調整では党員の獲得数も大きな指標になるとされていただけに、山本氏の動きに高木氏の関係者は気が気ではなかったのだ。表向きは三人とも「党本部に一任」としつつも、水面下での駆け引きは続いていた。

 そして降って湧いた解散劇。切羽詰まった状況で茂木敏充党選対委員長が「山本先生が大所高所から判断いただいた」と説明するように、山本氏が一歩引いた形で今回の選挙での態勢は固まった。

 ある関係者は「党一任だけに、山本氏も何も言えないだろう」と解説するが、別の関係者からは「選挙直前にコスタリカとか言わないだろ」「選挙は基本的に一回一回だから」との声も漏れる。消えたようにみえる火種だが、再燃はあるのだろうか。

     ◇

 衆議院が二十一日に解散され、十二月二日公示、同十四日投開票の日程で総選挙が繰り広げられる。突然の解散とあって、与党側は衆院選挙区割りの「〇増五減」に伴う候補者調整、野党側は公認候補予定者の不出馬などいずれも課題に直面する中での滑り出しとなった。各政党の県内組織の選挙態勢づくりに向けた動きに迫った。