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福井ニュース

衆院解散へ厳しい県民の声 「税金無駄」「何のため」

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 安倍晋三首相が衆院解散を表明したことで県内もいやが応でも選挙モードに突入することになった。「選挙に使うお金を別に回した方がいい」「なぜ、今なのか」。選挙の大義に疑問の声が上がる中、解散に続く総選挙で政治家はどのように訴えるのか。有権者の厳しい視線が向けられる中、師走総選挙への動きが加速する。 

 「何のために選挙をするのか分からない。選挙に使うお金を違うところに回してもらえないだろうか」と憤りの声を上げるのは福井市の会社員石塚弥希(みき)さん(36)。鯖江市の飲食業、前川幸絵さん(42)も「何が争点になるのか。今選挙をするのは税金の無駄」と首をかしげる。

 こうした声の背景には安倍首相が声高に主張する「アベノミクス効果」を実感できない多くの県民の不満があるようだ。大野市の会社経営、野尻義忠さん(73)は「政権が民主党から自民党に代わり、景気がだいぶん回復したという実感がある」と現政権に対して一定の評価を示す。だが、越前市本保町の小売業鷲田文枝さん(52)は「消費税8%でも大変そうなお客さんが多い」と指摘。越前市の製造業、納村真司さん(27)も「景気は良くなったと言われるが、肌で感じることができない」とため息をつく。

 安倍首相も「景気を上向かせた」と強調する一方、国民がその効果を実感できていない実情を認める。その現れの一つが消費税増税の先送りだが、県民は先送りが問題解決につながらないことを敏感に感じ取っている。

 坂井市のパート従業員杉森孝子さん(65)は「本当は増税してほしくないけど、後々のことを考えると社会保障がどうなるのかな」と漏らす。福井市の公務員野田翼さん(27)も「社会福祉の充実になるならやむを得ない。先送りにしない方が良い」。回答からは国の将来を心配し、将来の負担から目をそらさない覚悟もうかがえる。

 衆院解散、総選挙の道を選んだ安倍首相ら政権与党の国会議員は有権者の覚悟に応えられるのか。敦賀市の婦人靴展経営丸山誠さん(63)は「前回の選挙前に約束した議員定数削減がなされていない」と自らの痛みを避け続ける国会議員の姿勢を冷ややかに指摘した。

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与党 アベノミクスを訴え

野党 「大義なし」結集模索

 各政党の県内組織も師走の総選挙に向けた臨戦態勢に入った。与党は安倍首相の判断を評価して争点となるアベノミクスの成果を主張していく構え。一方、野党は「大義がない」「党利党略」と唐突な解散を批判し、野党の結集を模索する動きが加速している。

 自民党県連会長の山本拓衆院議員は「総選挙をやる以上、アベノミクスの効果を強く訴えたい」と意気込む。〇増五減に伴う選挙区調整で党本部から正式な連絡はないが「今回は自分が比例代表に回る」と認めた上で「会長として陣頭指揮に務め、1、2区の応援に全力を挙げる」と週末にも役員会合を開く。

 公明党県本部の石橋壮一郎代表は「来年秋に消費税を増税する環境が整っていない」と分析した上で、税率の再引き上げを先送りした判断の是非を国民に問う解散を「大きな政治判断」と評価した。解散と同時に選対本部を立ち上げ、連立を組む自民党から選挙協力の打診があれば、前向きに検討する。

 一方、民主党県連の糸川正晃代表は「大義がない解散だ」と断じ「アベノミクスを継続するというが、何ができてできていないのかを明確にしなければ。議員定数の削減もやっていない」と語気を強めた。ただ総選挙は待ったなし。この日も党本部と党の候補者擁立が未定の新福井1区の対応などを協議した。

 維新の党県総支部の鈴木宏治代表代行は「安倍さんの自己都合解散。自分のために大量の税金を使うわけでひどい話」と批判。ただ総選挙に備え「しっかり準備はしたい」と気を引き締めた。他党との連携は「中央の動きを見ないと」と話す。二十日に選挙対策会議を開き、本部長や事務局長を決める方針。

 十七日に県選対本部を発足し、十八日に県内小選挙区の公認候補予定者を発表した共産党県委員会。南秀一委員長は沖縄県知事選の結果や国内総生産(GDP)の二期連続のマイナス成長を踏まえ「安倍政治やアベノミクスの破綻が表面化し、追い詰められた中での打算で決めた解散総選挙」と切り捨てた。

 社民党県連の龍田清成代表は「弱者救済をせず、一千兆円に上る国の借金を放り出しての解散では国民は納得しない。閣僚の不祥事を清算して政権を持ち直そうという党利党略だ」と断じた。県内小選挙区で公認候補は擁立しないが、二十二日の幹事会で反自民を旗印に野党勢力が結集できないかを模索する。(取材班)