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愛知の中小 アベノミクス「恩恵」どこに 「大企業と格差拡大」45%

本紙共同調査

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 衆院選で争点となっている安倍晋三首相の経済政策アベノミクスの地域経済への影響を調べるため、中日新聞と愛知中小企業家同友会は、愛知県内の中小企業571社に共同アンケートを行った。45%の経営者が、「アベノミクスで大企業と中小企業の格差が広がった」と回答。大企業が潤えば中小企業にも波及するとされるアベノミクスの恩恵が、トヨタ自動車など製造業が数多く立地する「モノづくり王国」愛知でも十分に浸透していない結果が浮き彫りになった。

 アンケートは、衆院選が公示された二日から五日まで同友会の会員企業を対象に実施した。回答した九割超は、従業員が百人に満たない企業だった。

 アベノミクスで会社の業績がどうなったかを聞いたところ、「変わらない」が45%で最多。「やや悪くなった」「悪くなった」と答えた企業は約三割あった。業績が上向いて「良くなった」「やや良くなった」企業は26%にとどまった。

 今春行った従業員の賃金改定交渉については、「賃上げしていない」が42%で四月の消費税8%への引き上げ分をカバーできていない企業が最も多かった。賃上げした企業は、「2%未満」(19%)が最多だった。

 来春の賃上げ見通しでは、「賃上げする方向」と回答した企業がほぼ四割。一方で賃上げ見送りの企業が三割以上あり、「景気の先行きが不透明」と今後への不安感をにじませた。

 国内の会社の99・7%を占める中小企業に、アベノミクスの恩恵は来ているのか。アンケートに答えた愛知県内の中小企業経営者の多くは、効果を実感できずにいる。

 「販売単価は下げられ、原材料費や光熱費などの経費は上がりっぱなし。忙しくても利益が出ない」。こう述べる自動車関連企業の経営者は、今春の賃金引き上げを見送った。従業員三十人未満の小さな会社。県内にあるトヨタは中間決算で過去最高益を更新したが、「もうかっているのは大企業だけ」。

 同じ自動車関連では、「業績が良くなった」と感じている経営者もいる。ただ、「秋以降、売り上げが失速している」「海外での現地生産が進み、国内は減産の流れ」と先行きを楽観視する声はない。

 製造業以外の企業経営者の見立てはもっと厳しい。消費税が8%になって以降、軒並み仕事が減ったといい、住宅分譲関係の会社経営者は「消費税が上がって物件が売れず、得意先から取引の中止をにおわされた」。建設・土木関係の企業は「消費税増税前の駆け込み需要で一時的に受注が増えたが、その反動が出ている」と述べる。

 回答した経営者らが国に望むのは、中小企業のやる気を高める政策だ。企業家の育成につながるような税制の優遇や優秀な人材の獲得支援を求めている。