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工場の海外移転に歯止めも 日銀、財務省、経産省が東海シンポ

 安倍政権の経済政策アベノミクスの「三本の矢」を構成する金融緩和、財政出動、成長戦略。その推進役を担っている日銀、財務省、経済産業省の東海地方の責任者三氏を招いたシンポジウムが五日、名古屋市で開かれた。選挙期間中とあって発言のトーンを抑えつつも、それぞれの立場から円安の影響や、消費税再増税を見送った政権の判断について分析をした。

◆円安、資金繰り対策必要

 一本目の矢の金融緩和を実行した日銀の梅森徹名古屋支店長は、物価上昇と景気停滞が同時に発生する「スタグフレーション」の可能性について、現時点で物価上昇率はまだ1%台だとして「考えにくい」と否定。金融緩和で円安が進んだのに輸出が伸びない“誤算”については「米国の寒波などで年初から海外経済の回復が減速気味だったこともある」と分析し「九月以降は少し伸びており、今後の動きを見ていく」と述べた。

 また、トヨタ自動車が下請けに対して部品価格の値下げ要請を見送っている動きを念頭に「こうした動きが広がれば、(円安による)マイナスの影響が緩和される」と期待した。

 財政出動を実行した財務省の長谷川浩一東海財務局長は、安倍政権発足直後の補正予算でさらに膨らんだ一千兆円超に及ぶ国の借金に言及。「悲劇的な状況。金利が跳ね上がると、抑え込むことはなかなかできない」と語った。

 安倍政権が決めた消費税再増税の延期には「財政再建をあきらめたわけではない。財政規律を守っていくと、国内外に示していく必要がある」と話した。

 成長戦略で掲げられた法人税改革については「利益を上げている企業のやる気を増大させ、広く薄く負担してもらう構造に変えていく。数年で20%台にしていく議論だが、大企業に厳しい改革もある」と述べた。

 成長戦略を練っている経産省の井内摂男中部経産局長は、円安の影響について「日本経済全体ではプラスの方が大きい」との見方を示し、円高で進んだ海外への生産移転には「明らかにブレーキがかかった」と前向きに評価した。

 ただ、一ドル=一二〇円台まで進んだ円安水準には「原材料高に苦しむ中小企業に対し、資金繰り対策が必要」と述べた。

 シンポは日本証券アナリスト協会が主催した。

 (稲田雅文)