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中部ニュース

三つの岐路、見極める

 「安倍政治」の二年間を問う総選挙が始まった。「この道しかない」と経済政策アベノミクスの効果と継続を強調する与党。「一強多弱」の下、「待った」をかけたい野党。公示日の二日、中部地方でも各候補者が争点の経済政策、原発再稼働、安全保障について訴えた。冷え込んだ師走の街で、耳を傾ける有権者たち。十二日間の選挙戦で、大切な一票を託す先を吟味する。

◆アベノミクス 「円安で仕事増えた」「中小には恩恵なし」

 「製造業が大打撃を受けた円高から、円安に転換したことで、仕事が増えたのは間違いない」

 津市内で第一声を放った三重1区の自民前職、川崎二郎さんは、安倍政権下で三重県内の有効求人倍率が上昇したことを強調しながら、アベノミクスの成果を誇った。愛知5区の自民前職、神田憲次さんは名古屋市中村区での演説で「まだ大企業や一部の業種に偏っている部分もある」と認めながら、政策継続により「中小企業や地元商店街や住民に好況感を届けたい」と支持を訴えた。

 野党側は手厳しい。厚生労働省の統計では実質賃金は十六カ月連続で減少しており、同じ愛知5区の民主前職、赤松広隆さんは中村区で「首相は景気が良くなったと言うが、物価高に賃金が追いついていないのが現状だ」と批判。「自民が検討する法人税減税は、もうかっているところを減税し、中小企業には恩恵がない」と断じた。

 岐阜県可児市では岐阜4区の維新前職、今井雅人さんが「いい思いをしたのは大企業やお金持ち、金融機関だけ。都市と地方の格差を拡大しながら突き進むのはおかしい」と格差是正を主張した。同じ4区の下呂市でも共産新人の伊嶌明博さんが「大企業の利益が上がる一方、庶民の生活は消費税増税で苦しくなった」と述べた。

◆集団的自衛権 「外交力が強化」「国会議論ない」

 安倍政権が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をしたことを、野党の多くの候補者が批判した。

 愛知12区の維新前職、重徳和彦さんは愛知県岡崎市の事務所で「集団的自衛権は国会で何の議論もしていない。こんないいかげんな政治を止めることが今回の選挙だ」と気勢を上げた。同じ12区の共産新人、牧野次郎さんは同市の街頭で「集団的自衛権の行使容認は自衛隊を海外派兵し、血が流れることを意味する」と主張した。

 衆院選の争点の一つとして取り上げたのは滋賀4区の民主新人、徳永久志さん。滋賀県近江八幡市で「集団的自衛権の行使は憲法上許されないと歴代内閣が四十年以上保ち続けた解釈を、閣議決定で変更した。暴走を止めないといけない」と語気を強めた。

 同じ4区の自民前職、武藤貴也さんは近江八幡市の第一声で「安倍内閣で外交力が強化されているからこそ、中国の習近平国家主席との会談が実現した。中国が尖閣諸島などに進出しており、外交・防衛問題を解決する力を与えてほしい」とアピールした。

◆原発再稼働 「安全確認し粛々と」「防災計画が不十分」

 「原発の再稼働は今の段階では反対です」。二〇三〇年代に原発ゼロを掲げる愛知3区の民主前職、近藤昭一さんは名古屋市内のスーパー前で訴えた。

 福島第一原発事故後、原発から三十キロ圏内の自治体に原発事故時の防災計画作成が義務づけられたが、「原発周辺の六割程度の地域しか避難計画ができていない。しかも、避難者を受け入れる計画がない」と指摘。防災計画を地方自治体に“丸投げ”しながら、原発再稼働を進める安倍政権を批判した。

 同じく愛知3区の減税新人、増田成美さんは原発回帰の姿勢を強める安倍政権を「国民の命と生活を軽く見ている」。共産新人の石川寿さんも「太陽光、地熱、風力といった自然エネルギーへの転換で原発に頼らず、日本の電気とエネルギーを確保することができる」と語り、原発の即時ゼロを主張した。

 これに対し、全国最多十四基の原発が集中立地する福井2区の自民前職、高木毅さんは「原子力規制委員会で安全だと確認された発電所は粛々と動かしていくべきだ」と主張。原発の新増設についても「排除しない」とし、原発をベースロード(基幹)電源と掲げる党の公約を支持した。