文字サイズ

中部ニュース

「党利党略の解散に怒り」 中部に避難、東北の被災者

 東日本大震災と福島第一原発事故の記憶や教訓が、置き去りにされていないか。東北地方から避難し、中部地方で暮らしている被災者の中には、震災後二回目となる衆院選に、そんな疑問を抱く人も多い。安倍政権の経済政策アベノミクスが争点として注目を集める中、原発政策などへの反発の声が上がっている。

 「原発事故がなかったかのように、原発再稼働や輸出を進めようとしている」。大津市の青田勝彦さん(72)は怒りを口にした。原発事故で福島県南相馬市から避難を余儀なくされた。選挙では、反原発と被災地復興支援に力を入れる政党を見極めるつもりだ。

 福島県伊達市から名古屋市内に避難してきた岡本早苗さん(36)も「再稼働の話がこんなに早く持ち上がるなんて信じられない。裏切られた気持ち」と嘆く。

 夫と五人の子どもと暮らす。三歳の次男は避難後に生まれた。被災者の住宅などへの支援が続くかも不安だ。「次の年は支援があるか一年ごとに綱渡り状態。子どもも大きくなるし、長いスパンで人生設計ができるよう考えてほしい」と政治への願いを口にした。

 放射能と余震の不安を感じ、仙台市から三重県亀山市に移り住んでパン屋を開いた女性(43)は「私はここで生活できているけれど、避難できずにいる人のことを考えた政治をしてほしい」と話す。

 福島県西郷村を離れて長野県松本市で暮らす森永敦子さん(54)は、野党にも不満を感じる。「原発再稼働を進める政党はありえないが、反対する他の党もどういう国にするのかビジョンが見えない」と批判する。住民票を移した長野で一票を投じるが、投票先は「消去法でしか考えられない」と言う。

 福島県二本松市で無農薬のコメを栽培していた柑本(こうじもと)修さん(45)は福井県鯖江市に移住、無農薬野菜を生産している。「現実として原発があるのは仕方がないが、太陽光発電など再生可能エネルギーの技術開発に力を入れてほしい」とエネルギー政策を注視している。

 選挙戦で復興支援策の影が薄いことに「政治家の頭の中では復興は終わったんだろう」と不満を訴えるのは岐阜県恵那市の須田裕司さん(63)。津波で宮城県石巻市の自宅を失い、現在は岐阜県中津川市で土産品店を経営する。「被災地復興は進んでないのに、政治家から関係する発言が聞こえてこない」と訴え、突然の解散も「首相が党利党略で行ったことに怒りを覚える」と話した。